心斎橋のとあるお店に久しぶりに訪問した松尾さん。かつては大阪カレーの名物だったあいがけカレーを頼むことに。そのお味とは――。
以前、ラジオでご一緒していた加藤紀子さんのおすすめでうかがったのが昨年の5月で、一年以上もご無沙汰で再訪することができた。
前回は開店10分前に着いてしまったので待っていると、早めに女性のスタッフが「お待たせしてすいません〜」と少しフライング気味に入れてくださった。
アジアからの観光客がわんさか集まる心斎橋の路地、御堂筋から堺筋に寄ったあたりの路地裏で、ひっそりとした佇まいのお店だ。古民家をリノベーションしたような、手づくり感満載の雰囲気だ。
今や全国的に当たり前になったけれど、一時期は大阪名物と言っていいほどだった「あいがけ」を頼む人が多い様子。
ベースのバターチキンカレーに、あいがけにするもう一品を選べるので、キーマを指定、辛増しにしていただいたが、私にはちょうどいい。トッピングで目玉焼きをお願いした。
前回は野菜のココナツカレーをあいがけに選んだ。ココナツミルクがふんだんで、バイマックルの香りも芳しく、まさにタイ風だった記憶が。
アチャールも時により変わるのだろう。今回は胡瓜や根菜のピクルスだ。以前いただいたライムのアチャールもいい箸休め、いや匙休めだった。サラダの酸味も好感度が高い。
メインのバターチキンは優しくまろやかながら、食べているうちに辛味が少しずつ舌に居座りいいバランスになる。ライスは麦ご飯で、少ししっかり目の歯応えにしてくれているのが心地よい。
キーマは香ばしく、「奥の方」に甘さをほんのり感じる深味で、やや鋭めに感じる辛さも心地よい爽快感。
レンズのダルの味になぜか懐かしさを感じる。これは何の風味だろう。もっと大量に所望したいところだ。
店内の雰囲気は大量のCDが積まれていてサブカル度が高いが、社会派の書籍もたくさん置かれている。
帰りがけ、厨房から見つけてくださった店主が声をかけてくれた。
「松尾さん、お久しぶりです!しかし、最近の……(以下略)」と、時事問題についての世間話を。色々意識の高いご主人だった。
文・撮影:松尾貴史