松尾貴史のカレードスコープ
大阪・心斎橋の深味ある"あいがけ"カレー|松尾貴史のカレードスコープ(91)

大阪・心斎橋の深味ある"あいがけ"カレー|松尾貴史のカレードスコープ(91)

心斎橋のとあるお店に久しぶりに訪問した松尾さん。かつては大阪カレーの名物だったあいがけカレーを頼むことに。そのお味とは――。

箸休めまで完成度が高い

以前、ラジオでご一緒していた加藤紀子さんのおすすめでうかがったのが昨年の5月で、一年以上もご無沙汰で再訪することができた。
前回は開店10分前に着いてしまったので待っていると、早めに女性のスタッフが「お待たせしてすいません〜」と少しフライング気味に入れてくださった。
アジアからの観光客がわんさか集まる心斎橋の路地、御堂筋から堺筋に寄ったあたりの路地裏で、ひっそりとした佇まいのお店だ。古民家をリノベーションしたような、手づくり感満載の雰囲気だ。

店内

今や全国的に当たり前になったけれど、一時期は大阪名物と言っていいほどだった「あいがけ」を頼む人が多い様子。
ベースのバターチキンカレーに、あいがけにするもう一品を選べるので、キーマを指定、辛増しにしていただいたが、私にはちょうどいい。トッピングで目玉焼きをお願いした。
前回は野菜のココナツカレーをあいがけに選んだ。ココナツミルクがふんだんで、バイマックルの香りも芳しく、まさにタイ風だった記憶が。

カレー

アチャールも時により変わるのだろう。今回は胡瓜や根菜のピクルスだ。以前いただいたライムのアチャールもいい箸休め、いや匙休めだった。サラダの酸味も好感度が高い。
メインのバターチキンは優しくまろやかながら、食べているうちに辛味が少しずつ舌に居座りいいバランスになる。ライスは麦ご飯で、少ししっかり目の歯応えにしてくれているのが心地よい。
キーマは香ばしく、「奥の方」に甘さをほんのり感じる深味で、やや鋭めに感じる辛さも心地よい爽快感。
レンズのダルの味になぜか懐かしさを感じる。これは何の風味だろう。もっと大量に所望したいところだ。

店内

店内の雰囲気は大量のCDが積まれていてサブカル度が高いが、社会派の書籍もたくさん置かれている。
帰りがけ、厨房から見つけてくださった店主が声をかけてくれた。
「松尾さん、お久しぶりです!しかし、最近の……(以下略)」と、時事問題についての世間話を。色々意識の高いご主人だった。

外観

店舗情報店舗情報

ボタ
  • 【住所】大阪府大阪市中央区東心斎橋1‐8‐20
  • 【電話番号】06‐6241‐5273
  • 【営業時間】12:00〜15:30(L.O.) 18:00〜21:00
  • 【定休日】水曜
  • 【アクセス】大阪メトロ「長堀橋駅」より3分

文・撮影:松尾貴史

松尾 貴史

松尾 貴史 (俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト)

1960年5月11日生まれ。神戸市出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業。 俳優、タレント、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広く活躍。下北沢のカレー店「般゜若」(パンニャ)店主。著書に『人は違和感が9割』、『違和感ワンダーランド』、『ニッポンの違和感』(毎日新聞出版社)等がある。