dancyu本誌から
dancyu6月号「驚くほど旨いパン2024」絶賛発売中!

dancyu6月号「驚くほど旨いパン2024」絶賛発売中!

パンの進化が止まりません。しっとりもっちり、旨味じんわり、甘味清らか。そして口溶けじゅわーっ。「これがパン!?」と、未体験の旨さに驚くこと必至!腕利きの若き職人たちが焼く驚くほど旨いパンを大解剖。家でのパンライフがさらに豊かになるレシピやヒントも、盛りだくさんでお届けします。

表紙
P8-9
P16-17
P57

リラックスは誰のため?

dancyu2024年6月号
沖縄で初めて食べて夢中になったソーキそばを東京の店で食べたとき、似たような味なのにどこか物足りないことに驚いたものでした。郷土料理は、その食文化をはぐくんだ気候風土の中で味わうほうが断然、美味しいと言います。しかも旅行中の私たちは基本、ウキウキと浮かれています!仕事を離れ、見慣れない街並み、明るい海、美しい夕焼けなんかを前に解放感いっぱい。私たちがリラックスしているから、旅先での料理はより一層、美味しく感じられるとも言えそうです。

パン屋さんのドアにあるとき、こんな貼り紙を見つけました。「3月○日(土)の午前中は、子供の卒園式のため、お休みします」。単に「土曜日は臨時休業です」でもいいのに、余計な情報が書いてある(笑)。それを見て、心がふわっとほどけました。どうぞ店を閉めて卒園式に出てあげて、と温かい気持ちになりました。

仕事にプライベートを持ち込まないのがよしとされがちな日本ですが、最近は肩の力を抜いて自然体で働くことも、もてなしの一つなんじゃないかと思うことがあります。私生活をゆるやかに仕事に食い込ませる様子からは人の健やかな営みが感じられ、その気負わない雰囲気に安心感を覚えるのです。先日も「どうしても観たい試合があって、店を早く閉めて応援に行っちゃった」と笑うレストランのご主人を見て、その店の居心地のよさの理由の一つがわかった気がしました。今月はパン特集ですが、編集部員からも「リラックスして笑顔で仕事をしている職人さんのパンは、うまく発酵が進むのか不思議と美味しい!」なんて声を聞きましたよ。
人生にはいろいろなことが起こりますから、いつも同じようにできなくていい。「こうしないとダメ!」と自分がピリピリしていたら、相手にもその緊張は伝わります。自分のリラックスは、実は自分のためだけじゃない。これは飲食業に限らない話かもしれませんね。

dancyu編集長 藤岡郷子
dancyu2024年6月号
dancyu2024年6月号
特集:驚くほど旨いパン2024
A4変型判(128頁)
2024年5月7日発売/980円(税込)

写真:木村 拓