松尾貴史のカレードスコープ
くつろいだ雰囲気の中で食べるあいがけカレー|松尾貴史のカレードスコープ(83)

くつろいだ雰囲気の中で食べるあいがけカレー|松尾貴史のカレードスコープ(83)

西永福の落ち着いた雰囲気の店を訪れた松尾さん。閑静な住宅地に囲まれたその店は、ゆったりとした時間が流れていました――。

食後のドリンクと氷菓も秀逸

京王井の頭線「西永福」駅を北側に出て、井の頭通りを渡ったところを時計回りに進むとすぐに、カフェ風の爽やかな佇まいの店「ゴトカリー」がある。お店の方によると、まだできて1年半ほどらしい。駅からも近く、目の前の道路沿いにパーキングメーターもあり、使い勝手の良さそうな場所だ。入り口脇にテイクアウトの窓口があって、自転車に跨ったまま注文したり、カレーを受け取ったりする人も多いようだ。

チキンカリー、ポークビンダルーカリー、ラムキーマカリー、それらの組み合わせで2種(チキンとポークビンダルーか、チキンとラムキーマか)と、3種全部のあいがけが選べる。チキンティッカプレートもあるが、日曜日のみということで今回は断念した。辛さを聞くとラム、チキン、ポークの順に辛いとのことなので、辛めのふたつ、チキンとラムキーマのあいがけに、トッピングとして茹で玉子を選んだ。根拠はないのだが、辛いとはいえ、お店の優しい雰囲気と味がリンクしていると思っての選択だった。

住宅地ということもあって、せかせかした雰囲気のお客さんもおらず、皆のんびりくつろいだ風情だ。窓の外の車通りや、テイクアウトを受け取るお客さんの嬉しそうな顔などを眺めながら待つことしばし、シンプルだが華やかなお皿が登場した。フットボールのような形に盛られたターメリックライスの両側に、ラムキーマカリーと骨付き手羽元の入ったチキンカリーが混ざるでも堰き止められるでもなく保たれている。

カレー

チキンは程よい辛さで旨みが強く、しかしその奥にポイントとなる甘みが自然と伝わってきて、ほどの良さが何ともいえず馴染めるのだ。ラムキーマはスパイスがより効いているように感じるが、羊が苦手な人でも全く抵抗なく食べられるのではないか。傍らにヨーグルトが添えられているので、少しずつ混ぜて食べると風味に変化が出てくる。思った通り、辛さも程よく、私にとっては辛いふたつにして正解だったのかもしれない。

チャイ

大満足で最後にチャイをいただく。こちらはホットだけのようだ。もともと私は香りを楽しみたいのでチャイはホットしか頼まないのだけれど、ここのチャイは紅茶のあるべき香りとスパイスの効き方が私好みで、カップにたっぷり入れてくれているのも嬉しかった。

クルフィ

熱々のチャイをいただきながら、この日は気温が高いこともあって、メニューにあったデザートのクルフィ(インドの氷菓)をお願いした。ココナッツの味わいに、上にぱらりとかけてくれている砕いたナッツと共に、カルダモンが使われているのか、爽快な風味がさらに美味しさを引き立てている。インドではアイスキャンデーのようにスティックに刺さった状態で食べるもののようだが、食べやすく輪切りにしてくれているのでゆったりと味わえた。これは癖になる。夏場には毎日でも食べたい涼やかさだ。クルフィもクルフィも。
お店の方たちのゆったりとした応対も、この空間にすこぶるマッチしていて、ついつい長居をしてしまいそうになる。

外観

店舗情報店舗情報

ゴトカリー
  • 【住所】東京都杉並区永福4-19-10 ユニオン・トゥロワ 1F
  • 【電話番号】03-4363-0126
  • 【営業時間】11:30~16:00 17:00~20:00
  • 【定休日】月曜 火曜
  • 【アクセス】京王井の頭線「西永福駅」より5分

文・撮影:松尾貴史

松尾 貴史

松尾 貴史 (俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト)

1960年5月11日生まれ。神戸市出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業。 俳優、タレント、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広く活躍。下北沢のカレー店「般゜若」(パンニャ)店主。著書に『人は違和感が9割』、『違和感ワンダーランド』、『ニッポンの違和感』(毎日新聞出版社)等がある。