ロケで訪れた広島・三原漁港で、早朝から始まるたこ漁の船に乗せてもらい、戻ってきてから港で食べたたこのしゃぶしゃぶと唐揚げは冷えた体に沁みる美味しさでした。
BSフジ「日本一ふつうで美味しい植野食堂」のロケで2月に広島に行きました。汁なし担々麺、モツの天ぷら、蒲鉾など、地元の旨いものをあれこれ食べまわったのですが、最も印象に残ったのは、たこでした。
美味しいたこが揚がることで有名な三原漁港に向かったのはまだ夜明け前。暗いうちに出向するたこ漁の船にのせてもらい、沈めておいた蛸壷を引き上げる漁を見学していたところ「やってみるかい?」と船長さん。
やってみると、最初はたこが入っているかどうかわからなかったのですが、しばらくやってみると、手に伝わる重さで「お、これ入ってますね!」とわかるようになりました。重みを感じる蛸壷を甲板に上げると、中からにゅわーっとたこが出てきます。次から次へとたこが出てきては甲板を這いずり廻ります。まずまずの豊漁でした。
たこ漁は楽しかったのですが、2月の早朝の海はやはり寒い。しかも早起きして眠い、お腹空いた……という状態で港に戻り、漁協の外に出てみると、テーブルの上に獲れたてのたことわかめが大皿に盛られ、しゃぶしゃぶの用意が!
さっそく、新鮮なたこを鍋で軽く泳がせて口に入れると……滑らかな弾力の歯応えが心地よく、噛み締めると上品な旨味と塩気がじわりと広がります。この旨味、噛むほどにどんどん出てきます。口の中が旨味で満たされる幸せ……。
(夢中で食べたので、しゃぶしゃぶしている写真がなくてすみません!)
夢中で食べていると、「これも食べてね!」と地元のお母さんたちがもってきてくれたのが唐揚げ。たこの足を一本ずつ豪快に揚げたもので、かぶりつくとこちらも凝縮した旨味がジュワッと弾けます。いくらでも食べられるくらい旨い!
海を眺めながら食べる気持ちよさもあり、冷え切った体もしっかり温まりました。あ、しゃぶしゃぶや唐揚げと一緒に熱燗を呑んだからかもしれませんが……。
文・写真:植野広生