知り合いのカレー職人に案内され、月数回ミュージシャンのライブ演奏もあるという、音楽とカレーが売りのカフェバーを訪れた松尾貴史さん。福岡のカレー界ではレジェンドといえる人がつくるチキンカレーとは――。
10年ほど前だったか。福岡の高砂界隈で、古民家を利用した良い風情のスープカレー店「カヨカリ」の前を、閉店直前の深夜11時50分にたまたま通りかかって吸い込まれて食べて大ファンになり、それからマンションの3階に移転して「クロネコード」となって、閉店後はあちらこちらの店に請われて方々でカレーを作っている「さすらいのカレー職人」佐々木加代さんに案内されて、知り合いがやっているという、「遊来友楽」へやって来た。
ごく最近、近所からこの場所に移転して来られたという店は、小ぶりなライブハウスのような雰囲気。店の奥には小さなステージと演奏用の機材が設えられていて、夜の営業が楽しいものであることを物語っている。
福岡のカレー界ではレジェンド的カリスマと言われる元「スパイスロード」の高田健一郎氏と二人三脚で活動してきた元相棒、ジャスティン小川さんの店だ。
この日はランチでチキンカレー一択、ミニサラダと味噌汁が添えられて900円だった。
チキンは骨付きの手羽元で、2本がほろほろに煮込まれている。カレーは独特の香りなのにバランスが良く、辛さもジャストな的を射た感じ、まさにジャスティン。
味噌汁はコクのある旨味の濃いもので、こっそりダルスープのようにカレーと混ぜてライスに合わせてみるとこれまた合うのが面白い。
シナモンスティックなどと混じって、ホールスパイスのカルダモンが茶色く存在を主張しているので、噛んで中の粒を出して味わうと、香ばしく爽やか。
「ブラウンカルダモンですか?」と聞いたら、「グリーンカルダモンですが、じっくりテンパリングして良い色になっているんです」と教えてくださった。香りを抽出するための作業を丁寧になさっているのだ。
高田氏が開発したスパイスふりかけにも興味を惹かれたので、これは是非家で試してみようと思う。
文・撮影:松尾貴史