いま「食」を語る。~編集長・植野が「食」の達人にインタビュー~
フランス料理を伝えたいから"うまいもの屋"のオヤジになるのはやめました|「レストラン ラフィナージュ」 髙良康之さん Chapter3 淘汰と継承

フランス料理を伝えたいから"うまいもの屋"のオヤジになるのはやめました|「レストラン ラフィナージュ」 髙良康之さん Chapter3 淘汰と継承

「フランス料理は常に“進化するクラシック”である」という高良シェフは、様々な料理が淘汰されていったとしても、フレンチは実は間口が広く、今後も必ず残ると言う。そして、その精神と技術を継承するために、生涯現役で厨房に立ち若い世代に伝えていきたい、と考えているのであった。

ワンオペでできるシェフこそ若い人を使って欲しい

「フランス料理は古いイメージがあるかもしれませんが、進化はしても退化はしません。むしろ、フレンチの居心地の良さに戻ってくる人も出てくると思います」と高良シェフは言う。

たとえば100の料理ジャンルがあったとして、それぞれの良さはあるにしても、結果的には三つか四つに淘汰されるかもしれないが、その中にフレンチは必ず残る、と。「長い年月をかけて歴史や理屈を上手に取り込んできてつくり上げてきた料理なんです」
そして、フランス料理に恩返ししたい、技術的なものや精神的なものを伝え残していきたいと思うようになってきた、とも。

「ベテランになるとワンオペカウンターで好きな料理をつくるシェフもいますが、それができるのは、素晴らしい技術を持っている人です。そういうシェフこそ、若い人を使って伝えていってほしい」
だから、高良さんは生涯現役で厨房に立ち、若い世代に継承していきたいと言う。

「一時期は、“うまいもの屋”のオヤジになってラーメン出したり、一人で好き勝手やろうかと思ったこともありましたが、やめました。一生、若い人と一緒に厨房に立ちます」

語る人

髙良康之さん

たから・やすゆき●ホテルメトロポリタン勤務を経て、1989年渡仏。パリ・サヴォワ地方などフランス各地で2年間研鑽を積む。帰国後、赤坂「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トーキョー」副料理長、日比谷「南部亭」料理長を歴任し、2002年「ブラッスリー・レカン」オープンに伴い、料理長に就任。「銀座レカン」総料理長を経て、2018年10月、銀座五丁目に自身の店「レストラン ラフィナージュ」をオープン。