銀座に「ラフィナージュ」を構える髙良シェフの料理には、優しい気品がある。軽やかな香り、絶妙な温度、心地よい食感のバランスが感動の味わいとなる。揺らぐことのない哲学と技術があるからこそ、軽やかだけれどフレンチの真髄を感じさせる安心感をもたらせてくれる。こうした味わいを生み出す原点とは?
F1用の自動車をつくりたいと思い、工業高校に進んだ髙良シェフであったが、喫茶店でアルバイトをしているうちに料理をつくる楽しさに目覚め、フレンチに憧れてホテルに就職。
しかし、実際の仕事は和洋中、幅広い料理に関わることに。料理の知識がないままいきなり現場に飛び込み、しかし、それが料理の基礎を学ぶことになり、フレンチへの思いをさらに強めることにもなった。
そして、フレンチの修業経験がほぼないままにフランスへと旅立つ。本場で実践を積みながらフレンチを学んでいく中で、「なぜ」を考えながら料理をつくることの重要性に気づく――。
たから・やすゆき●ホテルメトロポリタン勤務を経て、1989年渡仏。パリ・サヴォワ地方などフランス各地で2年間研鑽を積む。帰国後、赤坂「ル・マエストロ・ポール・ボキューズ・トーキョー」副料理長、日比谷「南部亭」料理長を歴任し、2002年「ブラッスリー・レカン」オープンに伴い、料理長に就任。「銀座レカン」総料理長を経て、2018年10月、銀座五丁目に自身の店「レストラン ラフィナージュ」をオープン。