華やかな銀座の一角に佇む町中華にはオーソドックスなメニューが揃っていますが、多くの人が頼んで、初めての人は心の中で「おお!」と叫ぶようなオリジナルの一品があります。ボリュームもありますが、やさしい味わいでするっと食べられる、ランチタイムのご馳走なのでした。
銀座といえば高級店が立ち並ぶイメージがありますが、実は、渋い居酒屋や食堂、喫茶店、町中華なども点在しています。地元に住んでいる人、銀座で働いている人などが通うこうした店は、毎日食べたくなるような日常の美味しさに溢れています。
「銀座亭」もそのひとつ。カウンターだけの小さな町中華ですが、4、5人のスタッフがきびきびと無駄なく動き、ランチタイムから深夜まで銀座に通う人たちの胃袋を満たしています。
麺類、ご飯もの、定食などいろいろなメニューが並んでいますが、僕がランチタイムに行くと、多くの人が炒飯かマーボー担々麺を注文、次いでマーボー春雨丼という感じです。夏場は冷やし中華も人気なのですが、汗をかきながらマーボー担々麺を食べている人が多いですね。
この日は朝からマーボー春雨丼気分だったので(でもものすごく暑い日だったので冷やし中華に心惹かれながらも)、店に入るなり注文。平たい丼にご飯を盛り、端にオムレツ状の玉子焼きをのせ、たっぷりのマーボー春雨をご飯がみえないくらい注ぎます。端にゆでた小松菜と紅生姜を添えて完成。色鮮やかな一皿になります。
深い味わいのマーボー春雨とご飯はもちろん会います。さらに、玉子焼きとマーボー春雨とご飯を一緒に口に入れると、やさしい旨味とちょっとした辛味の刺激が相まって、さらに旨味が引き立ちます。
合間に小松菜や紅生姜でちょっと口を変えると、また食欲が進む感じ。なかなかのボリュームがありますが、最後まで飽きることなく食べ進められます。これを注文する女性が多いのも納得です。
別の日には餃子と炒飯という王道(?)の組み合わせを食べました。炒飯は“ぱらぱら”と“しっとり”の間のややしっとり寄りで、味付けはシンプルでご飯の味がしっかり感じられるタイプ。餃子はカウンターの端でスタッフが包み続けているものを軽やかに焼き上げます。
そういえば、学生時代に腹が減っているときは「ラーメン、炒飯、餃子」をよく食べていたなぁ、と思い起こすような懐かしい味わいでもありました。
あの頃はひたすら腹を満たすためにがしがし食べていましたが、大人になると、町中華に行くのは日常の味に安らぎを求めているような気がしてきました(夜はシンプルに呑むために行きますが……)。特に、銀座の真ん中でこのマーボー春雨丼を食べていると、ランチタイムの胃袋のオアシスだなぁ、と感じます。
文・写真:植野広生
銀座といえば高級店が立ち並ぶイメージがありますが、実は、渋い居酒屋や食堂、喫茶店、町中華なども点在しています。地元に住んでいる人、銀座で働いている人などが通うこうした店は、毎日食べたくなるような日常の美味しさに溢れています。
「銀座亭」もそのひとつ。カウンターだけの小さな町中華ですが、4、5人のスタッフがきびきびと無駄なく動き、ランチタイムから深夜まで銀座に通う人たちの胃袋を満たしています。
麺類、ご飯もの、定食などいろいろなメニューが並んでいますが、僕がランチタイムに行くと、多くの人が炒飯かマーボー担々麺を注文、次いでマーボー春雨丼という感じです。夏場は冷やし中華も人気なのですが、汗をかきながらマーボー担々麺を食べている人が多いですね。
この日は朝からマーボー春雨丼気分だったので(でもものすごく暑い日だったので冷やし中華に心惹かれながらも)、店に入るなり注文。平たい丼にご飯を盛り、端にオムレツ状の玉子焼きをのせ、たっぷりのマーボー春雨をご飯がみえないくらい注ぎます。端にゆでた小松菜と紅生姜を添えて完成。色鮮やかな一皿になります。
深い味わいのマーボー春雨とご飯はもちろん会います。さらに、玉子焼きとマーボー春雨とご飯を一緒に口に入れると、やさしい旨味とちょっとした辛味の刺激が相まって、さらに旨味が引き立ちます。
合間に小松菜や紅生姜でちょっと口を変えると、また食欲が進む感じ。なかなかのボリュームがありますが、最後まで飽きることなく食べ進められます。これを注文する女性が多いのも納得です。
別の日には餃子と炒飯という王道(?)の組み合わせを食べました。炒飯は“ぱらぱら”と“しっとり”の間のややしっとり寄りで、味付けはシンプルでご飯の味がしっかり感じられるタイプ。餃子はカウンターの端でスタッフが包み続けているものを軽やかに焼き上げます。
そういえば、学生時代に腹が減っているときは「ラーメン、炒飯、餃子」をよく食べていたなぁ、と思い起こすような懐かしい味わいでもありました。
あの頃はひたすら腹を満たすためにがしがし食べていましたが、大人になると、町中華に行くのは日常の味に安らぎを求めているような気がしてきました(夜はシンプルに呑むために行きますが……)。特に、銀座の真ん中でこのマーボー春雨丼を食べていると、ランチタイムの胃袋のオアシスだなぁ、と感じます。
文・写真:植野広生