長崎は好きな街の一つです。自然に恵まれ、入り組んだ街並みは歩いているだけでも楽しい。でもなんといっても飲み歩くのが最高です。寿々屋で皿うどんを食べたり、桃若でおでんをつまんだり、締めにかにやでおにぎり食べて……、また飲む。ああ、長崎行きたい、でもなかなか行けない。そんなときには新橋の長崎街道に飛び込みます。
新橋の路地にある長崎街道は、長崎出身の女将が賄う店です。ランチはちゃんぽんと皿うどん、夜は長崎名物のつまみで酒を飲む人たちで賑わっています。長崎は魚介が豊富で、しかも日本、中国、オランダの食文化がミックスした卓袱(しっぽく)料理に代表されるように、多彩かつ独特な料理があるのも楽しい。
長崎がちょっと恋しくなったこの夜のお通しは、小鯵の素揚げ。おお、これはビールが進まないわけがない。これを齧りながら、メニューを見て、でも頼むものはいつも決まっています。
まずは「蝦多士」。これ読めますか?「はとし」と読みます。蝦(海老のすり身)を、多士(食パン)で挟んで油で揚げたもので、香ばしさと海老の甘味が相まってこれまたビールが進みます。長崎では一般的な料理ですが、東京ではなかなかお目にかかれないうえに、長崎街道の蝦多士は美味しい!そして、雲仙ハム。長崎・雲仙のボローニャソーセージ的なもので(でも名前はハム)、こんがり焼くと旨い。これまたレモンサワーが進みます。
他にもあれこれ頼むのですが、この二つは必ず注文する大好物です。
そして、締めには皿うどん。東京でも皿うどんはよく見かけますが、こちらのものは本当に長崎を感じる味わいです。長崎では皿うどんはボリューミーなものが多く、でも揚げ麺が香ばしく軽やかなので意外に食べられます。かつては、大皿にたっぷりのせたものを出前してもらうことも多かったようで、今でも古い店には大皿があります。
皿うどんに欠かせないのが金蝶ソース。これも長崎ではおなじみ、スパイスが効いた辛口ウスターソースで、皿うどんを食べ進めて揚げ麺が少し柔らかくなった頃に少しかけると、旨味が引き立ちます。かつて大皿で出前する際には、リポビタンDの空き瓶に金蝶ソースを入れてつけるのが当たり前だったそうです。
というわけで、この日も締めは皿うどん。でも、つまみになるんだなぁ、これが。結局、閉まらないまま呑み続けてしまいました……。
文・写真:植野広生
新橋の路地にある長崎街道は、長崎出身の女将が賄う店です。ランチはちゃんぽんと皿うどん、夜は長崎名物のつまみで酒を飲む人たちで賑わっています。長崎は魚介が豊富で、しかも日本、中国、オランダの食文化がミックスした卓袱(しっぽく)料理に代表されるように、多彩かつ独特な料理があるのも楽しい。
長崎がちょっと恋しくなったこの夜のお通しは、小鯵の素揚げ。おお、これはビールが進まないわけがない。これを齧りながら、メニューを見て、でも頼むものはいつも決まっています。
まずは「蝦多士」。これ読めますか?「はとし」と読みます。蝦(海老のすり身)を、多士(食パン)で挟んで油で揚げたもので、香ばしさと海老の甘味が相まってこれまたビールが進みます。長崎では一般的な料理ですが、東京ではなかなかお目にかかれないうえに、長崎街道の蝦多士は美味しい!そして、雲仙ハム。長崎・雲仙のボローニャソーセージ的なもので(でも名前はハム)、こんがり焼くと旨い。これまたレモンサワーが進みます。
他にもあれこれ頼むのですが、この二つは必ず注文する大好物です。
そして、締めには皿うどん。東京でも皿うどんはよく見かけますが、こちらのものは本当に長崎を感じる味わいです。長崎では皿うどんはボリューミーなものが多く、でも揚げ麺が香ばしく軽やかなので意外に食べられます。かつては、大皿にたっぷりのせたものを出前してもらうことも多かったようで、今でも古い店には大皿があります。
皿うどんに欠かせないのが金蝶ソース。これも長崎ではおなじみ、スパイスが効いた辛口ウスターソースで、皿うどんを食べ進めて揚げ麺が少し柔らかくなった頃に少しかけると、旨味が引き立ちます。かつて大皿で出前する際には、リポビタンDの空き瓶に金蝶ソースを入れてつけるのが当たり前だったそうです。
というわけで、この日も締めは皿うどん。でも、つまみになるんだなぁ、これが。結局、閉まらないまま呑み続けてしまいました……。
文・写真:植野広生