dancyu2月号「開眼！豆腐料理」絶賛発売中！

2023.01.06
- 連載 : dancyu本誌から

豆腐は、エライ！財布にやさしく、どこでも買えて、高たんぱくで低カロリー。豆腐はこんなにエライのに、物腰柔らかで出しゃばらないから一番の魅力に気づきにくいのです。そう、なんたって「いろいろ美味しい！」。お米好きも呑ん兵衛も、忙しい人もマイペースな人も、豆腐の新たな美味しさに、目覚めるはずです！

新しい香り

dancyu2023年2月号: どんな料理でも「香り」「温度」「テクスチャー（食感）」のバランスがいいと美味しいと感じます。なかでも香りは本能的食欲をくすぐる要素。焦がした醤油やソース、カレーや揚げ物などの強い香りはもちろん、炊きたてのご飯や吸い物など、ふわりと美味しさを感じる香りも食欲を刺激します。新しい年を迎える頃に感じる香りも心地よいものです。たとえば秋に出回る新蕎麦を用いた蕎麦も美味しいのですが、蕎麦の実の状態が落ち着いて、きれいな青い香りが強くなるのは年末から年始にかけて。鼻腔で感じる鮮烈な香りが蕎麦の食感や味わいをさらに昇華させます。
あるいは豆腐。一年中売っていて味わいも一定、と思われるかもしれませんが、国産大豆の収穫時季は秋から冬にかけて。これを乾燥させて豆腐に用いる時季、1月から2月にかけては、青みを帯びた香り豊かな豆腐が出回ります（パッケージに「新豆使用」などと書いてあることも）。いつも日常にある当たり前の味、と思っていても、新しい年とともに新しい香りが訪れるのです。

この時季に限ったことではありませんが、その時々にしか感じられない香りや味わいを大切にすることが、日本の素晴らしい食文化を守ることに繋がるように思います。
dancyuは、今年もそんな季節の味わいを大切にしながら、読者の皆さんがワクワクするような美味しさをご紹介していきたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。

dancyu編集長植野広生