dancyu1月号「いま、東京で行きたいのはこんな店です。」特集に掲載した“編集部員の校了めし”。誌面では、長時間の作業に追われる雑誌づくりの校了期間中に、どうしても食べたくなるご飯を6人の編集部員が紹介しました。dancyuWEBでは、それぞれのお店について詳しくご紹介します!
赤坂見附駅から5分ほど、日枝神社の近くにある「金葉庭」は、校了のときに重宝するチャージスポットだ。
夜は中華料理屋だが、昼のメニューはちゃんぽんと皿うどんだけ。疲弊した体をちゃんぽんで癒すために、校了が訪れるたびに店へ自然と足が向く。
店主の弥永(やなが)さんは九州・長崎の出身。ホテルの中華料理屋で修業時代を過ごしたが、ちゃんぽんや皿うどんの店でも働いていた経験がある。
最初に店を出したのは、1994年。場所は新宿・歌舞伎町のさくら通りで、繁華街のど真ん中。営業時間は17時~翌3時と遅く、店には夜の街で働く人であふれていたそう。赤坂に移転したのを機に、ランチはちゃんぽんと皿うどんだけ、というスタイルに落ち着いた。
お昼にちゃんぽんと皿うどんを出すのは「ほかのお店では食べられない、自分の故郷のものを」という思いから。毎朝店に来てから鶏ガラと豚骨を煮込み、仕込んだ分は使い切る。「特別なことはしていない」と言うが、丁寧な仕事が何度でも食べたくなる味をつくっている。だから、赤坂に移った今でも、多くのサラリーマンに愛されている。
初めて「金葉庭」に訪れたのは、もう十年以上も前になる。
店がまだ新宿にあったころから通っていた父に連れられて訪れた。それからしばらく間が空いたが、dancyu編集部で働くようになり、会社がたまたま近くだったことから通うようになった。僕がいつも頼むのはちゃんぽん。つるっ、もちっとした麺と濃厚なスープがよくからみ、どんどん食べ進む。気づけばいつも、スープまで飲み干している。
夜は素朴な中華料理屋だ。赤坂という土地を考えたら破格の値段で食事ができる。オリジナルの“エビカレー風味”は自家製スパイスオイルと混ぜた海老が酒を呼ぶ逸品。ほかにも、卵をたっぷり使ったカニ玉や、餃子、麻婆豆腐などの定番料理もあり、もちろん夜もちゃんぽんや皿うどんを食べられる。体に優しい締めの一皿にぜひ食べてみてください。
撮影:土居麻紀子 文:折敷出 陸