食べることが大好きなメンバーを集め、2019年より始動したdancyuの会員組織「dancyu食いしん坊倶楽部」。
「人生最高の冬の美味しい食旅」をテーマにアンケートを実施し、その回答にもとづいて今回は静岡県へ。美味を堪能する旅のおとも「賢者の食卓 ダブルサポート」を携えて、いざ出発!
登録メンバー数、およそ1万8,000人(2022年11月時点)の「dancyu食いしん坊倶楽部」。おいしいものへの感度が高いメンバーに「人生最高の冬の美味しい食旅」についてアンケートを実施した。
回答で目立った食材は、冬にいっそうおいしさを増す魚介類。
そして、エリアについては、具体的な店名とともに挙げられた静岡県が目に留まった。
たとえばこんな回答だ(食いしん坊倶楽部アンケートより。一部抜粋)。
そう、近年、静岡の食は全国においても飛躍的に注目度が高まっている。ことに、新鮮な天然地魚のポテンシャルを最大限に引き出す料理が評判だ。そこには1軒の鮮魚店と料理人の取り組みがあるという。“美味しい食旅”の目的地に迷いなし。さっそく静岡へと向かった。
東京駅から新幹線ひかり号で約1時間。あっという間に静岡駅に着いた。この日、昼食に目指すのは、まさにここに訪れるために静岡へやって来る人も少なくない天ぷらの名店「成生」である。
江戸前の天ぷらでは見ることのない青魚や、駿河湾の地魚を見事に天ぷらに昇華させ、「江戸前」ならぬ「駿河前」という言葉を浸透させた。
2021年3月には、550坪の庭園を備える新店舗へと移転し、目でも舌でも来る人をますます愉しませるようになった。
料理は、昼夜ともに旬の魚介や野菜を盛り込むコース1種のみ。しっとり落ち着いたエントランスやウェイティングルームを抜けて席に着くと、すっかり非日常の世界へいざなわれる。
コースはすり流しで胃を温めることから始まり、ハタの刺身が供された。「刺身」といっても低温の油にくぐらせたものである。
「50度手前まで温めた焙煎していない上品な胡麻油にくぐらせることで、刺身の温度が上がり、口に入れた時に圧倒的に魚本来の味わいを感じやすくなります。この魚は、長いお付き合いの鮮魚店『サスエ前田魚店』の店主・前田尚毅さんが仕立ててくれたもの。ここ数年で、仕立てだけでなく前田さんの働きかけによって漁師の心持ちが変わってきました。ますますレベルが上がり、進化しています」
続いて、登場したのはカマス。なんと、今朝、仕入れ先の「サスエ前田魚店」に入るまで生きていた「活」だという。カマスの活など聞いたことがない。
「カマスは生かすのがとても難しい魚です。みずみずしさ、保水力が半端じゃありません。塩を振ってありますのでかぶりついて召し上がってください」
未体験の食感と味わいに感動している間に、次々と新たな天ぷらが供される。
漁師が船上で〆たイトヨリに、白甘鯛のウロコ揚げ、大ぶりなサワラと、感動は続く。
そして、「賢者の食卓 ダブルサポート」を摂取することも忘れない。
志村さんは言う。
「魚の保水力が半端じゃないんです。魚がいいことはもちろんですが、前田さんの魚の扱いや仕立てで味わいは大きく違ってきます。ますますレベルアップする魚のおいしさを、魚ごとに揚げ方を変えて最大限に引き出すよう心を砕いています」
夕食は、静岡が誇るもう1軒の名店「茶懐石 温石」を目指して、静岡駅から電車で13分ほどの焼津駅へ向かう。
「茶懐石 温石」は、創業40年以上。茶室を含む個室のほか、2019年にリニューアルによってライブ感のあるカウンター席をしつらえた。
料理の内容は、その日に水揚げされた魚で決まる。9皿ほどの料理と3種のご飯、菓子、抹茶という流れである。
この日は、前菜の落花生豆腐、鯖寿司に続いて登場したのは、日本料理店でまず見たことのない鰺のお椀だ。一般的には青魚特有の風味が加熱により臭みとなってしまうからだ。
店主の杉山乃互(だいご)さんは言う。
「青魚のお椀という和食のタブーと言われているような料理も、鰺のクオリティがすばらしいから生まれた料理です。『サスエ前田魚店』の活鰺は、青魚でありながら、身はまるで白身魚のよう。刺身以上においしい料理に仕上げるのが私の仕事です。時に、物がよすぎて、これまでとどう変えて料理に使えばいいかわからなくなるほどです(笑)」
お造りに、この地の在来種であるあさはた蓮根のおかき揚げ、そして「温石」の代表的な料理ともいえる金目鯛のウロコ焼きに伊勢海老の炙り、炊きたての白米、天然舞茸の蒸し焼き……とため息のこぼれるような美味が続く。
杉山さんは駿河湾魚介の魅力をこう話す。
「起伏に富んだ海底地形のため、浅いところから深いところまで魚種が豊富です。漁船も大小あって得意なものが違いますし、近くに港が3つあってそれぞれでよい魚が違います。土地の利だけでなく、『サスエ前田魚店』の前田さんが漁師さんに歩み寄り、駿河湾の未来を見据えて、技術や熱意を伝えてきたことがいま実ってきたのだと思います」
この度訪ねた2店が頼りにする「サスエ前田魚店」とはどんな店なのだろうか?
店は、料理人たちが買い付けに来るプロ向けの卸しと、一般客向けの小売を兼ねている。卸しを手がける店舗の裏方は、毎朝、「成生」の志村さんや「茶懐石 温石」の杉山さんをはじめ、全国から熱い視線を集める料理人がやって来ては白熱したムードに包まれる。県内のみならず、国内の有名店や海外からも「サスエ前田魚店」の魚が求められている。
5代目店主の前田尚毅(なおき)さんは言う。
「獲った魚を船上で冷やす方法やより状態がいいまま生かしておく手法など、7年前から取り組んできたことが4年ほどまえから徐々に実現してきました。今年には、大掛かりな定置網でも実現するように。漁師さんとの信頼関係ですね」
活のカマスや、すぐさま最適な処理をされる白甘鯛。イトヨリ、鰺、サワラ、ハタ。最適な処理と仕立てる技術によって、それらはどれも他の地域でも見られる魚種でありながら、ここにしかない魚となる。
その一方で、前田さんは、料理人とともにこの魚をどう使うか、どうすればもっともおいしさを引き出せるのかを一緒に考える。
食通がこぞって静岡を目指すようになった理由。――それは、漁師、鮮魚店、料理人が一丸となってともに高みを目指すタッグの強さにある。
駿河湾の海の幸を存分に享受した静岡の“美味しい食旅”。
次は、解禁を迎えた越前かにを求め、シーズン真っただ中の冬の福井へ!
大塚製薬株式会社
製品に関するお問い合わせ:0120-550-708
受付時間 9:00~17:00(土・日・祝日を除く)
成生
【住所】静岡県静岡市葵区丸山町12-2
【電話番号】054-295-7791
【営業時間】12:00~、18:00~(予約制)
【定休日】土曜、不定休あり
【アクセス】JR「静岡駅」より車で10分
茶懐石 温石
【住所】静岡県焼津市本町6-14-12
【電話番号】054-626-2587
【営業時間】 12:00~、18:30~(予約制)
【定休日】不定休
【アクセス】JR「焼津駅」より徒歩20分
文:沼由美子 写真:森本真哉