かつて六本木に「ニコラス」というイタリアンレストランがありました。かつての東京の先端の空間であったその店はありませんが、東京・福生の横田基地のそばにある「ニコラ」が当時の味を受け継いでいます。約30年ぶりに訪れて、懐かしい味に浸りました。
1956年(昭和31年)、イタリア系アメリカ人ニコラス・ザペッティ(通称ニック)が六本木に「ニコラス」というイタリアンレストランを開きました。第二次世界大戦後に海兵隊を除隊、日本でGHQ(連合国軍総司令部の略)の仕事に関わったのち、様々なビジネスに携わったニックが提供したアメリカンテイストなピザやパスタなどの“新しい味”が大人気となり、皇族や芸能人なども訪れていました。
1959年(昭和34年)には東京・福生に「ニコラス横田店」(現在の「ニコラ横田本店」)がオープン。横田基地のアメリカ軍人たちが集い、こちらも人気店となりました。
六本木の「ニコラス」は2018年に閉店してしまいましたが、福生の横田本店は健在です。
僕は、かつて六本木の「ニコラス」でピザやパスタを食べてアメリカンな雰囲気と味わいに驚き、福生の店にも1995年にdancyuの取材で伺いました。そのときはミートボールスパゲッティの取材でした(このメニューもアメリカ系イタリアンな料理で、当時は横浜の洋食店や横須賀のアメリカンダイナーなどで見かけました)。
それ以来、約30年ぶりに福生を訪れる機会があり、「横田本店」に行ってみました。
店に入った瞬間、「あ、昔のままだ!」と心の中で叫びました。30年の時を感じさせない、当時のままの空気感、設え、サービス。そして運ばれてきたニコラミックスピザは、クリスピーな生地にタマネギ、ピーマン、マッシュルーム、サラミ、ソーセージがのり、たっぷりのチーズが一面にかかった、やはり昔のままの佇まい。そしてちょっと塩気の強い、ビールが進む味わい。
懐かしい思い出の味に浸るとともに、変化や進化を続けることも大変だけれど、何十年も変わらないものを守り続けるのは凄いことだと改めて感じました。
ちなみに、この日はチーズ欲求が強かったのか、茄子のパルマ風グラタンまで頼んでしまいました。強いノスタルジーは、偏った食欲を生み出すのかもしれません……。
文・写真:植野広生
1956年(昭和31年)、イタリア系アメリカ人ニコラス・ザペッティ(通称ニック)が六本木に「ニコラス」というイタリアンレストランを開きました。第二次世界大戦後に海兵隊を除隊、日本でGHQ(連合国軍総司令部の略)の仕事に関わったのち、様々なビジネスに携わったニックが提供したアメリカンテイストなピザやパスタなどの“新しい味”が大人気となり、皇族や芸能人なども訪れていました。
1959年(昭和34年)には東京・福生に「ニコラス横田店」(現在の「ニコラ横田本店」)がオープン。横田基地のアメリカ軍人たちが集い、こちらも人気店となりました。
六本木の「ニコラス」は2018年に閉店してしまいましたが、福生の横田本店は健在です。
僕は、かつて六本木の「ニコラス」でピザやパスタを食べてアメリカンな雰囲気と味わいに驚き、福生の店にも1995年にdancyuの取材で伺いました。そのときはミートボールスパゲッティの取材でした(このメニューもアメリカ系イタリアンな料理で、当時は横浜の洋食店や横須賀のアメリカンダイナーなどで見かけました)。
それ以来、約30年ぶりに福生を訪れる機会があり、「横田本店」に行ってみました。
店に入った瞬間、「あ、昔のままだ!」と心の中で叫びました。30年の時を感じさせない、当時のままの空気感、設え、サービス。そして運ばれてきたニコラミックスピザは、クリスピーな生地にタマネギ、ピーマン、マッシュルーム、サラミ、ソーセージがのり、たっぷりのチーズが一面にかかった、やはり昔のままの佇まい。そしてちょっと塩気の強い、ビールが進む味わい。
懐かしい思い出の味に浸るとともに、変化や進化を続けることも大変だけれど、何十年も変わらないものを守り続けるのは凄いことだと改めて感じました。
ちなみに、この日はチーズ欲求が強かったのか、茄子のパルマ風グラタンまで頼んでしまいました。強いノスタルジーは、偏った食欲を生み出すのかもしれません……。
文・写真:植野広生