摂氏2度前後の日本海固有水の砂泥に生きる上質な松葉ガニ。その蟹の道を極める谷次兄弟が率いる京都丹後半島の魚政。京都府内で一、二を争う松葉ガニ取扱量の魚政のトップブランド『匠の松葉ガニ 魚政BLACK(特撰)』。身入り90%以上!味も香りも高品質、姿も色も素晴らしい!
丹後半島沖17~25km。メスは水深220m前後、オスは280~350mの泥の海底が住処だ。海水は2度前後と低温。窒素やリンが豊富で、蟹の餌となる魚・貝・ヒトデ・イカ・エビなどが年間通じて豊富。餌が良いから蟹の身も味噌や卵も上質になる。さらに、漁場が近く、日帰り操業できることから、蟹が元気な状態で水揚げされる。
仕入れ担当の谷次賢也は活の蟹しか仕入れない。35年前からこの道に入り、これまでに目利きした松葉ガニは50万匹以上、セイコガニは1,000万匹以上。まさに蟹の甲羅の中を見通せる匠だ。
魚政は見た目よりも、漁港の色付きタグより、身入りと味を重視する。丹後山陰沖の底引き網漁で獲れたズワイガニのみを松葉ガニと定義し、他の海域やカゴ漁等で漁獲したズワイガニは扱わない。※カゴ漁の蟹は餌を食べているので生臭さが残る。
品質管理・選別レベル・漁場・漁獲量・セリの形態等から、仕入れをさらに絞り込み、浅茂川・間人・津居山・柴山・香住・浜坂の6港の水揚げから厳選して仕入れる。
元気で身入りが良い(9割前後の身入り)蟹を選んで、『匠の松葉ガニ 魚政BLACK』のタグをつけて産地から直送する。中でも身入り90%以上で、見た目も美しく、風格を感じる立派な蟹を 『特撰』 とし、魚政の松葉蟹のフラッグシップと位置付けている。
蟹は8機15槽のカニ専用水槽で管理する。漁のストレスを癒し、泥を吐かせ、蟹の体調管理を徹底することで、精緻な選別と加工法が可能になる。魚政の蟹がピュアな味で、臭みがほとんどないのは、この細かな管理があるからだ。
蟹を茹でるのは谷次郁也。茹でる前、地下水で活け締めし、タワシで隅々まで洗い、地元の海水を炊き上げた塩を使い、強力バーナーで一気に茹で汁を沸騰させ、火加減を調整して、絶妙な加減に茹でる。茹で上げ後、素早く流水でアクを流し、冷蔵庫で寝かせる。こうすることで身が落ち着き、カニ味噌も固まり、最高の松葉蟹に仕上がる。
文:(株)食文化 萩原章史