
黄色いスイカのレジェンド「金色羅皇」と種無しの寵児「ブラックジャック」。この2つのスイカ品種の血筋を受け継いだスイカ界の革命児が、2025年に本格デビューを果たした。その名も「ゴールデンジャック」。ぜひその新時代の味わいをご賞味あれ!
スイカ栽培4千年の歴史。それは絶え間ない品種改良の繰り返し。ケニアに残る原種に近いスイカは殆ど甘くなく、苦味と渋みがある白い果肉。それが世界中で改良され、日本では 『赤いスイカが美味』 の認識が定着した。さらに、故・木原均博士のゲノム研究で種無しスイカも生まれた。しかし、栽培効率が悪い種無しは、値段が高い割に味が良くないから、同様に味が良くない黄色いスイカとともに、不遇の時代が続いた。
草勢が強い。すなわち、植物としてパワフルで自分の成長に明け暮れる品種は、子供を作る(着果)のが難しい。黄色いスイカ界の王者 金色羅皇も草勢が強い。
染色体が3倍体と数が多いブラックジャックは、生殖機能に問題がある分、さらにパワフルで上質な実をならせるのが難しい。そんな暴れ馬を調教し、圧巻のレース運びを可能にしたのが、ナント種苗(株)の宇野氏。10数年の研究によって、強烈なパワーを操縦するノウハウが確立したと言える。
栽培がしやすく、糖度14度超を狙え、大玉で、果肉も質が良く、種無しの黄色いスイカの概念を打ち破る新品種。スイカ農家にとって夢のような品種。
そうは言っても、2025年に本格デビューの新品種だから、まだまだ、栽培ノウハウが確立しているとは言い難い。全ての新しい農作物の品種に共通して言えるのは、土地による環境の違い、年度による気候の違いなど、様々な前提条件の違いの中、年に一度しか栽培できない新種は、腕の良い農業者でないと結果を出すのが難しい。
今回は品種開発したナント種苗初の認定スイカ生産者である、大分県日田市のヒタントが栽培する限定品。この品種をうまく作れる生産者は、現時点では殆どいない。
一般入手困難な凄い種無し黄色スイカ!スイカ好き必食の逸品だ。
文:(株)食文化 萩原章史 写真:八木澤芳彦