dancyu本誌から
dancyu5月号「食堂のしあわせ」絶賛発売中!

dancyu5月号「食堂のしあわせ」絶賛発売中!

一番身近な和食が食べられる店であり、ニッポンが誇る町の文化遺産たる、食堂。何度でも足を運びたくなる、選りすぐりの店をご紹介します。

そうだ、町の旨い食堂に行こう!

表紙
P16+17
P20+21
p81
dancyu2021年5月号
遅い昼食をとりに、定食屋に入る。この店の生姜焼きは旨い。頭と胃袋がすっかり生姜焼きになっている。しかし、「しょ……」と言いかけて、隣のテーブルの客に運ばれたミックスフライ定食が目に入ってしまった。アジとエビとササミかな?旨そうだ。そういえば、ここのフライは食べたことがなかった。今日はそっちでいってみるか。でも頭は揚げ物を向いたが、胃袋が生姜焼きを求めている。では、生姜焼き定食にアジフライ単品を付けたらどうだろう。ご飯を半分にして。そうだ、ご飯少なめならポテトサラダを付けてもいいのではないだろうか。待てよ、マカロニサラダもある。どっちだ、迷うなぁ。お、明太子か、いいね。納豆と明太子を混ぜて白飯の上にのせると……たまんないね。白飯にのせることを考えるなら、ハムエッグを頼んで、目玉焼きの一個はハムと一緒に食べて、残りの一個はご飯にのせて醤油たらして半熟卵かけご飯的な感じにするという手もあるな……うわっ!カウンターの人が食べているカレー、旨そう!いっそカレーにするか。カツカレーにすればフライ欲求も満たされるし。いや、定食に「カレーのアタマ」と言っている常連っぽい人もいる。なるほど、カレーだけ別皿で出てくるわけだ。さすがだね。真似しよう。あ、メインの定食はどれにしようかな……。
といった具合に、品書きの迷宮を彷徨っているときから、食堂の幸せは始まっているのです。

dancyu編集長 植野広生
dancyu2021年5月号
dancyu2021年5月号
特集:食堂のしあわせ

A4変型判(148頁)
2021年4月6日発売/ 900円(税込)

写真:伊藤菜々子