酒処、新潟で1957年に栽培奨励品種になって以来2000年まで作付け面積第1位をキープした多収量品種。全国的に栽培される。心白が大きく、酒が造りやすいと蔵元からの評価も高い。淡麗の酒に向く。
長野県生まれの品種で、寒冷地に強いことから山間の土地や東北地方で広く栽培されるようになった。作付け面積は第3位。南方に起源をもつ稲は寒冷地でも育つように品種改良されてきた経緯がある。美山錦はその好例といえる。
上記で紹介した四つの品種。実は大きく二つのグループに大別できる。それが晩生(おくて)と早生(わせ)だ。西日本は温暖なので成熟に時間をかけて大粒の米をつくる晩生品種の栽培が可能である。一方、寒冷な東日本では寒くなる前に収穫できるように、早く成熟する生品種が中心となった。
山田錦や雄町といった晩生品種は米粒が大きく、味もしっかりした酒になる。早生品種の五百万石と美山錦はその反対に粒が小さく、スッキリした淡麗の酒になる。酒の味に地域性があるのも米の品種によるところが大きい。
とはいえ、酒米は玄米の状態で流通させることができるため、たとえば東北地方の蔵でもより優れた酒質を求めて山田錦を使うことも多々ある。その一方、県産米を重視し、あえて山田錦を使わない蔵もある。米の選び方からも蔵元が造る酒の方向性が見えてくるのもおもしろい。
「いまでや」代表取締役社長。全国の地酒や本格焼酎、ワインなど美酒をそろえる。酒の輸出にも力を入れている。
IMADEYA本店
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熊本大学大学院先端科学研究部教授。専門は植物系統分類学。趣味で日本酒指導師範などの資格も取得する酒好き。著書に『酒米ハンドブック』(文一総合出版)がある。
文:深井戸 月 写真:相澤 正