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魅惑のT-ボーンステーキに食らいつく!「ウルフギャング・ステーキハウス」|大きな肉を食べよう⑧

魅惑のT-ボーンステーキに食らいつく!「ウルフギャング・ステーキハウス」|大きな肉を食べよう⑧

アメリカ発のステーキハウス「ウルフギャング・ステーキハウス」は、アメリカンサイズのTボーンステーキが楽しめます。老若男女関わらず、盛り上がること間違いなし!

USAの底力

ステーキ
ドライエイジングしたプライムステーキfor2(2人分)は17,280円。写真はステーキfor3 (25,920円)。付け合わせには、さっぱりと甘いクリームスピナッチ1,512円など、サイドメニューも充実。

ジュ、ジュ――ッ。本場アメリカンスタイルのTボーンステーキは、大胆にも、白い皿ごとオーブンに入れて仕上げ、そのまま客の前に登場する。肉の香ばしさと、ミルキーな甘い香り。その大きさと、がっちり焼き固められた肉の力強い表面までもが、たまらなく人を惹きつける。早く口に入れたいというストレートで野性的な思いがあふれて、思わず体が前のめりになるほどだ。
サービススタッフが、Tボーンの右側と左側を一切れずつ、スプーンとフォークを使って肉を取り分ける。フィレを口にすると、想像以上に柔らかくなめらかで驚く。次に少しピンクがかったサーロイン。こちらは噛むほどに甘味のある旨味が口中に広がってくる。

Tボーンステーキ

肉は、店にある熟成庫で28日熟成させ、カットして下焼きした後、熱したすましバターの上にのせて、900℃のオーブンで仕上げる。そう、ミルキーな甘味はバターの香り。力強い表面は超高温オーブンのなせる業。強い旨味は熟成の効果なのだ。
「ウルフギャング・ステーキハウス」はウルフギャング・ズウィナー氏がオープンした店だ。彼は、ニューヨークにある老舗ステーキハウス「ピーター・ルーガー」で、41年間もヘッドウェイターとして活躍。独立し、アメリカでも数店舗を構え、日本に上陸したのは、骨付きのUSビーフの輸入が解禁された2014年のこと。当時珍しかった熟成肉のTボーンステーキは大きな反響を呼び、黒船系ステーキハウスとして、瞬く間に人気店となった。後に上陸する「ベンジャミンステーキハウス」や「エンパイアステーキハウス」の先駆けとなり、その地盤を築いたと言っても過言ではない。

オーブン内
白いオーバルの皿にすましバターをたっぷりと入れて900℃のオーブンへ。熱したところに、あらかじめ下焼きをした骨付き肉をのせる。ミディアムレアだと1分半で仕上がる。

一時のブームは落ち着き、今改めて「ウルフギャング・ステーキハウス」を訪れてみると、ビジネスシーンはもちろん、カップルや、家族三世代など、幅広い年齢層の人々が楽しそうに食事をしている。それは、肉の美味しさもさることながら、気取らず場を盛り上げてくれるアメリカンなサービスと、落ち着いた高級感が同居した、居心地の良い空間だからだろう。2020年までには、いよいよ「ピーター・ルーガー」が上陸することも決まっている。日本にもそろそろ、ステーキハウス文化が根付いたと言えるかもしれない。

店舗情報店舗情報

ウルフギャング・ステーキハウス 丸の内店
  • 【住所】東京都千代田区丸の内2‐1‐1 丸の内MY PLAZA明治生命館地下1階
  • 【電話番号】03‐5224‐6151
  • 【営業時間】11:30~22:30(L.O.)
  • 【定休日】無休
  • 【アクセス】東京メトロ「二重橋前駅」直結

文:浅妻 千映子 写真:海老原 俊之

※この記事の内容はdancyu2018年10月号に掲載したものです。

浅妻 千映子

浅妻 千映子 (食ライター)

大学卒業後、3年間のゼネコン勤務ののち、ライターに。雑誌やweb等で活躍。料理研究家としてレシピ開発も。著書に『江戸前握り』『パティシエ世界一』(光文社新書)など、レシピ本に『浅妻千映子キッチン』(ぴあ)、『ほめられレシピ』(主婦と生活社)がある。『東京最高のレストラン』(ぴあ)の審査員。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。