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すっきりときれいな味わいが魅力の京中華「大鵬」|発酵料理がうまい店③

すっきりときれいな味わいが魅力の京中華「大鵬」|発酵料理がうまい店③

京都にある「大鵬」は大人気中華料理店。発酵食材を使い、厚みがあり美しい味わいの京中華とナチュラルワインが楽しめる、京都でしか味わうことのできないお店です。

大陸的濃密と和のエレガンス

バカリャウトリッパとひよこ豆の海老みそ炒め
バカリャウトリッパとひよこ豆の海老みそ炒め。香港産蝦膏(海老みそ)は旨味濃厚。スペインで仕入れた塩鱈の胃袋と。1,500円。
豚バラ肉の熟れずし煎り焼き鰆のからすみがけ
豚バラ肉の熟れずし煎り焼き鰆のからすみがけ。熟れずしの飯の酸味と豚肉の甘味、鰆のからすみの塩気が絶妙。1,800円。

貝のだしがじんわりしみたリゾットのような炒飯は、濃厚にしてヨーグルトのように爽やかな後味。聞けば調味の素は鮎の熟れずしの“飯いい”。深い旨味があり、冷めると味が締まり、これがまた旨い!ほかの料理も豚バラと鮒ずし、鶏のせせりと野菜の古漬け、ひよこ豆と海老みそ、と予測困難な組み合わせ。でも食すとクリアな旨味と深いコク、ほのかな酸味が口中でジワジワ広がる、まさかの中華なのだ。

蛤とホッキ貝のだしと熟れずしの飯だけで調味した炒飯
蛤とホッキ貝のだしと熟れずしの飯だけで調味した炒飯。旨味も酸味も雑味がなく美しい。米は農薬不使用の岡山産タイ米を使用。一貫してナチュラル。2,800円。
渡辺幸樹シェフ
渡辺幸樹シェフ。父親が根づかせた大衆中華と本格&新作中華を両立させ、さまざまな客のお腹を満たす渡辺さん。香港や日本、スペインなどで出合った発酵食材でつくる革新の料理が評判。

この挑戦的な料理を出す「大鵬」は京都では誰もが知る町場の中華。先代が築いた大衆中華に二代目が新味を加え、新たな根を張らんとしている。「以前は四川の再現にこだわっていましたが、京都で中華を食べることの意味を考えるうちに、むやみに本場を追うのをやめました。きっかけは、いい造り手の発酵食品やナチュラルワインとの出合いです」と語る、二代目の渡辺幸樹さん。最近は日本の発酵食品も使い、鮎の熟れずしは岐阜県の「川原町泉屋」、鮒ずしは滋賀県湖北の「魚治」から取り寄せている。

もち米とせせり肉の詰め物
もち米とせせり肉の詰め物。皮はパリッとして中はジューシー。水菜と白菜の古漬けの汁をソースに仕立て、ほのかな酸味と塩気で肉の旨味をぐぐっと底上げする。3,800円。

「発酵の仕方が丁寧なので酸味も旨味もすっきりとしてきれいで、加熱しても臭みがないんです。どれもルーツを辿れば中国。中華に合わないわけがないですよね」。日本の発酵が京中華となり、ナチュラルワインのアテと化す。

店内
1974年創業。メニューは日替わり、アラカルト多数。紹介した料理は要予約、おまかせコースでも対応可。

店舗情報店舗情報

大鵬
  • 【住所】京都府京都市中京区西ノ京星池町149
  • 【電話番号】075-822-5598
  • 【営業時間】11:30~14:20(L.O.) 17:30~21:15ごろ(L.O.)
  • 【定休日】火曜
  • 【アクセス】JR・地下鉄「二条駅」より2分

文:西村晶子 写真:エレファント・タカ

※この記事の内容はdancyu2019年11月号に掲載したものです。