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老舗割烹が本気でつくる美しいアジフライ「辰巳」|美味しいアジフライが食べたい!④

老舗割烹が本気でつくる美しいアジフライ「辰巳」|美味しいアジフライが食べたい!④

茅場町にある老舗割烹「辰巳」では、他ではお目にかからないアジフライがあります。和食の真髄を詰め込んだアジフライをぜひ味わってみてください。

“伝統芸”の味わい

料理人
昭和33年生まれの土地っ子、津田昌彦さん。約6年間外で修業、昭和55年に三代目店主についた。職人は使わず、自らの目や手などで、仕入れから素材と付き合う。パン粉には特に凝っていないと言うが、そのつけ方は微妙に控えめ。
揚げる様子
年季の入った鉄鍋も、いい仕事をしている。

「アジフライは正三角形に近いほど旨い」という冗談仮説のもと、いろいろ食べ歩いた時期があったのだが、割烹に足が向いたことはない。
昼の定食とはいえ、割烹といえば和食、揚げものは天ぷらだろう。おそるおそる店主に尋ねた。店主は笑い、「邪道だろ、ですよね」。実際30年ほど前、お客さんの要望で始めた頃は、そんな感じだった。評判がよく今ではアジと帆立のフライだけ夜も出している。
ただし、昭和26年創業当時の建物も大事に使っている老舗割烹の矜持がある。和食の真髄は素材の味だ。市場で刺身にできるアジを仕入れ、おろして軽く塩をふり一晩冷蔵庫でねかせる。身が締まり凝縮された新鮮な旨味を、衣で大切に包む感覚で揚げる。
歯が衣を割った瞬間、旨味の汁があふれ、舌が喜んだ。「欲しがるお客さんが多いんですよ」の話に大いに納得。「辰巳」のアジフライは“正三角形”に近いのであった。

アジフライ定食
お江戸日本橋へのタイムカプセルのような渋い店舗で、肩肘張らずに、添え物に至るまで念入りの、“伝統芸”の味わいを楽しめる。アジフライ定食は900円。

ワンモアフライ!

めぬけ

めぬけ(カサゴの類)はぜひ試してほしい(定食900円)。厚い白身に、刺身のような味わいの旨味を残した繊細な仕上がりで、“美味”と言うにふさわしい。

店舗情報店舗情報

辰巳
  • 【住所】東京都中央区日本橋茅場町2‐1‐9
  • 【電話番号】03‐3666‐0996
  • 【営業時間】11:00~13:30(L.O.) 17:30~22:00(L.O.)
  • 【定休日】土曜 日曜 祝日
  • 【アクセス】東京メトロ「茅場町駅」より4分

文:エンテツこと遠藤 哲夫 写真:岡本 寿

※この記事の内容はdancyu2019年10月号に掲載したものです。