スペシャリテとまかない~素敵なレストランの美味しい話~
「ヨヨナム」のまかない"コムビンザンスタイルの高菜炒め"|スペシャリテとまかない④後編

「ヨヨナム」のまかない"コムビンザンスタイルの高菜炒め"|スペシャリテとまかない④後編

料理人やスタッフの元気の源まかない。東京・代々木公園にあるベトナム料理「ヨヨナム」のまかないには、一日のメインの食事になるよう気を使う、料理長・澤野ひとみさんの愛が溢れていました。まかないの調理場を覗き見します!

本日のまかないは“コムビンザンスタイルの高菜炒め”

ヨヨナムのまかないは、和、洋、中、ベトナム料理とさまざまだという。遠くないところにある姉妹店のビストロ「mimet」から食材を分けてもらうこともあって、幅広い料理が登場する。

和では豚汁、中華では麻婆豆腐もまかないの人気メニューだとか。そんな中から、今日はベトナム料理だ。ベトナムの大衆食堂をコムビンザンといい、好きなものを選んで一皿にのせていくそうだが、今日のまかないもそのイメージ。いろいろな料理を並べ、自由に取るスタイルである。

いろいろな料理
いろいろな料理

ご飯はジャスミンライスと日本の米を半々にブレンドして炊いたもの。程よく親しみが出て、お店でのご飯ものにもこのスタイルで出すことが多いという。

おかずの“キャベツとコリンキー、サキイカのサラダ”と“春雨サラダ”は、今日のランチタイムのセットに付いた小鉢2品を多めに作っておいたもの。“大根とニンジンのなます”は、店のいろいろなメニューの付け合わせに使われる、いわば常備食。日本のなますの味に近いという。他にも“鶏の手羽先のイエローカレー”、“ピーナッツののったインゲンソテー”、“高菜炒め”、“トマトとしじみとディルのスープ”と本当に盛り沢山!

「いつも、品数は多いです。私も含め、働いているスタッフにとっては、このまかないが一日のメインの食事。特に、野菜をたくさん食べる機会は一日の中で他にないと思うので、意識してたっぷり入れています。まかない一食で30品目の食材を摂るのが目標です」と料理長の澤野ひとみさん。

まかないらしいな、と思うのはお客様に出す料理に使う野菜の「芯」と「茎」をとっておくことだ。たくさん出るレタスの芯をとっておいて、炒め物に。空芯菜やシャンシャイ、クレソンやせりなどの茎もストックしておき、炒め物に加えるという。今日なら、高菜の炒め物にたっぷり入っている。レモングラスの残ったものもとっておいて、これはなんと、和風のまかないのときに使うのだとか。刻んで、味噌汁や煮物に入れると美味しいそうだ。
和洋中、どんなまかないにも、ベトナム料理の香りはこっそり潜んでいる。

いろいろな料理
食べるスタッフ

高菜の炒めもののつくり方

フライパンに油を入れ、ニンニクのみじん切りと豚肉を炒める。
豚肉に八割方火が通ったら、薄切りの玉ねぎ、ざっくり切った青菜と高菜、茎を入れてさらに炒める。
ヌクマムとシーズニング、みじん切りの生姜を加え、水を少量加えてひたひたにし、軽く煮る。
汁を吸わせるように8つに切った栃尾揚げを入れる。
最後にトマトのざく切りを入れて混ぜる。トマトがくったりしたら出来上がり。
皿に盛りつけ好みで胡椒を振る。ベトナムではいろいろな料理にたっぷり胡椒を振って食べるそうだ。

文:浅妻千映子 写真:青谷慶

店舗情報店舗情報

ヨヨナム
  • 【住所】東京都渋谷区代々木5‐66‐4
  • 【電話番号】03‐6407‐1545
  • 【営業時間】11:30-14:00(L.O.) 17:00-21:45(L.O.)
  • 【定休日】なし
  • 【アクセス】東京メトロ「代々木公園駅」、小田急線「代々木八幡駅」より各5分
浅妻 千映子

浅妻 千映子 (食ライター)

大学卒業後、3年間のゼネコン勤務ののち、ライターに。雑誌やweb等で活躍。料理研究家としてレシピ開発も。著書に『江戸前握り』『パティシエ世界一』(光文社新書)など、レシピ本に『浅妻千映子キッチン』(ぴあ)、『ほめられレシピ』(主婦と生活社)がある。『東京最高のレストラン』(ぴあ)の審査員。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。