編集長・植野の食日記~日々こんなものを食べています~
TOKYO FM「食べるラジオ」で鮨のこと|編集長・植野の食日記 9月5日(土)

TOKYO FM「食べるラジオ」で鮨のこと|編集長・植野の食日記 9月5日(土)

植野がナビゲートするTOKYO FMの番組「食べるラジオ」(毎週土曜20時~20時30分)、9月5日の放送では、四谷「後楽寿司 やす秀(みつ)」主人、綿貫安秀さんをゲストに「鮨」について熱く語りました。この番組は、毎回、料理や食材をテーマに“美味しい話”を繰り広げるほか、この「食日記」でも番組内容と関連した話を紹介します。

食べる順番を変えると味わいが変わる。

突然ですが、僕は鮨と蕎麦はあまり写真を撮りません。特に握りは撮らない、というか撮れないのです。目の前に握りが置かれると、とにかくすぐ食べたくなるから。正確にいうと、目の前に置かれて一瞬(1秒くらい)おいてから手で食べます。職人によっては酢飯に空気を含めて握るため、つけ台に置いた瞬間に握りがほんのわずか、すっと沈むことがあります。これを見るも味わいのうちだからです。
ちなみに、握りが目の前に置かれたのに、角度を変えて何枚も写真を撮ったり、話に夢中で手を付けない客を見ると、もったいないなぁと思います。それなりのお金を払って鮨を食べるのに、わざわざ美味しい状態を逃しているからです。他人の財布だから関係ないのですが、自分のお金を無駄遣いしたかのように悲しい気持ちになります。ああ、もったいない……。

鮨の楽しさ、美味しさは握りや巻物それぞれにあるのですが、鮨屋の楽しさは“流れ”だと思います。季節の魚をどのような順番で味わうか。いまの(特に高級な)店は、おまかせが多いので、出てくるものを順番に食べればいいのですが、でも昔ながらの町鮨のようにお好みで自分の好きな流れをつくるのも楽しいものです。
ただ、好きなものを頼めばいいとはいえ、最初から煮詰めのついた穴子や軍艦巻きなど香りや味の強いものを食べてしまうと、白身などの繊細な味わいがわかりにくくなります。やはり、白身→青魚→トロなど脂や味の強いもの→軍艦巻きや煮詰め、といった順番を基本にした方が美味しく食べられると思います。
以前、ある職人が言っていました。「同じものを出しても、順番を変えるとお客様が食べる数が違ってくるんですよ。味の軽いものから重いもの、その合間に口を変えるようなものを挟むと、たくさん召し上がる方が多いですね」。
お好みの鮨屋で順番を工夫してみてください。同じものを食べたとしても、違いがわかると思いますよ。

さて、かつてはいろいろな鮨屋に行きましたが、最近はプライベートで行く店は限られています。三宿「金多楼」(がんこ職人の親父さん、世話焼きお母さん、やんちゃな息子が醸す雰囲気がいい)、四谷「後楽寿司 やす秀」(研究熱心で真面目にふざける職人と強烈なお母さんがいい)、銀座「鮨 太一」(ゆるやかで厳しい職人がいい。しかもお値打ち)などです。「鮨屋は近所と銀座に行きつけがあればいい」などと言いますが、僕は家の近所の「金多楼」、会社近くの「やす秀」、銀座の「太一」と、完璧な(?)エリアバランス……だと思っています。

鮪太巻き
握りの写真は撮らないので、画像はこんなものしかありません……。「後楽寿司 やす秀」の鮪太巻き(鮪の赤味、中トロ、トロと海ブドウが入っています)。
ばらちらし
ばらちらし。
鰹
青山「鮨あお」(「すきやばし次郎」出身)の鰹。
巻物
神田「次郎長寿司」(神田駅前のガード下、通路のカウンターのみの店。鮨で呑める店)の巻物。

「食べるラジオ」TOKYO FM 毎週土曜20時~20時30分OA
※ノーカット版は、TOKYO FMの音声コンテンツサイト「AuDee(オーディー)」で聴けます。
https://park.gsj.mobi/program/show/50786

番組へのメッセージはインスタグラム@taberuradioに書き込んでください。

文:植野広生