ワインとチーズで晩酌ってなんだかお洒落でいいですよね。けれども正直銘柄や種類どころか、ワインやチーズはどうやってつくられているのか知らないってことありませんか?そんな今更人に聞くのは恥ずかしいワインとチーズの基礎知識をご紹介します。
「材料となるぶどうも、製法も異なります」と話すのは、サントリー登美の丘ワイナリーの渡辺直樹所長。
赤ワインの赤は、黒ぶどうの皮の色。黒ぶどうの果実を丸ごと発酵させるため、アルコールによって皮の色がしみ出て美しい色の液体になるのだ。「発酵温度は25~30℃と高め。それにより色だけでなく、渋みのもとであるポリフェノールと、皮の持つアロマも存分に引き出され、複雑で深い味わいになります」。
白ワインの白は、ぶどうの果汁の色。緑や黄色のぶどうの果実をプレスし、種と皮を除いて果汁だけを発酵。透き通った淡い色の液体になる。渋みもほとんど抽出されず、赤ワインに比べて含まれるポリフェノールの量は約10分の1。香りを引き出してくれる酵母の活動に最適な16~22℃で発酵させるため、香り高く、軽やかな味わいに仕上がる。
「見た目以外の一番大きな違いは、含まれるポリフェノールの量です」。渋みを持つ赤ワインは、脂と相性がいいので肉料理と。すっきりとした味わいの白ワインは、サラダや魚料理の味わいを引き立ててくれる。ワイン初心者は、まずこれらの組み合わせからトライしてみて。
ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いを、チーズプロフェッショナル協会の桝田規夫さんに伺った。
「ナチュラルチーズはミルクから、プロセスチーズはナチュラルチーズからできています」。ナチュラルチーズはミルクに乳酸菌や酵素などを加えてつくる。それらが乳内のタンパク質を旨味となるアミノ酸に分解。微生物の働きはその後も続くため、時間経過に伴い旨味が増す。これが熟成なのだが、過度に進めば腐敗となるため賞味期間は比較的短い。
一方、ナチュラルチーズを加熱溶融し、乳化剤や水分を加えて再び固めたのがプロセスチーズ。加熱によって微生物や酵素の活性が失われるので熟成は進まず保存性が高まり、賞味期間は約1年。大量生産のしやすさも手伝い、ナチュラルチーズに比べ安価である。加熱などの過程を経るため「プロセス」の名がついた。「どちらが優れている、ということではなく使い勝手によって選ぶといいでしょう」。旨味は強いが値の張るナチュラルチーズは、週末のご褒美に美味しい酒と。安価でクセのないプロセスチーズは、平日の栄養補強としておかずやおやつに。ハレとケで上手に使い分ければ、チーズとよりうまく付き合っていけるはず。
イラスト:かざまりさ 文:森田彩子
協力/チーズプロフェッショナル協会、サントリー登美の丘ワイナリー
※この記事の内容は2017年12月号に掲載したものです。