明日、どこに食べに行こう?
素朴でホッとする"普通"を求めて「ピエール」|みんなが笑顔になるシュークリーム②

素朴でホッとする"普通"を求めて「ピエール」|みんなが笑顔になるシュークリーム②

東京・池ノ上にある「ピエール」には、“普通”のシュークリームがあります。みんなにとっての普通を目指すことは、実はなかなか難しいものです。でもここには、誰もがホッとする美味しいシュークリームがあるのです。

普通が一番!

小ぶりなシューがぎゅうぎゅうに並ぶ。出来たてはもちろん、半日ほど経って生地がクリームの水分を吸うと、しっとりなじんで美味。

今から十数年前のある日のこと。常連客から「もっと普通のシュークリームをつくって」と口々に言われた。当時つくっていたのは、硬めの生地で生クリームのみを挟み、上をアーモンドで飾ったもの。店主・鈴木徹さんが修業先のフランスでよく見た、本場ではオーソドックスなレシピだ。

池ノ上は住宅地で、長く住んでいる年配の方が多い。「その年代の日本人にとっての“普通”とは、柔らかい生地にカスタードが入っているものかな、と考えたんです」。そうして定着したのが、皮はフカッと軽く、クリームの甘さはキレがいい、素朴でホッとする味だ。
「普通になったね」の声こそ聞こえないが、みんな満足そうに、おやつ用、あるいは手土産用にとまとめ買いをしていくようになった。これがきっと、この街が愛する“普通”の正解なのである。

店主の鈴木徹さん。
店主の鈴木徹さん。
ケーキ
フルーツケーキなど一部の焼き菓子は先代の味を残し、他のラインナップは徹さんのオリジナル。シンプルでまろやかな味を大切にしている。
現在のシュークリームの価格は216円。
1971年開店。生菓子、焼き菓子ほか、ショコラボックスに入ったコフル・オ・ショコラ・ミニヨンなどチョコレート菓子にも力を入れる。

店舗情報店舗情報

ピエール
  • 【住所】東京都世田谷区代沢2-42-8
  • 【電話番号】03-3421-6023
  • 【営業時間】10:00~19:00、日祝は10:00~17:00
  • 【定休日】水曜
  • 【アクセス】京王井の頭線「池ノ上駅」より1分

文:吉田彩乃 写真:竹之内祐幸

※この記事の内容はdancyu2019年4月号に掲載したものです。