月島の「韓灯(ハンドゥン)」は徹底した丁寧な仕事をするお店。隅々までしっかり臭み取りや掃除をしたホルモンは、洗練された味わいです。
見よ、この塩ホルモンの盛りを!
端正な佇まいは鮨種を思わせるほど。センマイは一番いい真ん中だけを切り出した特大サイズ。シマチョウ、マルチョウも「ぷるんっ」という吹き出しをつけたくなるほど艶やかだ。
果物の甘味が生きた自家製ダレで食べるカルビやロース、焼き物同様に化学調味料を使わずつくる一品料理など、食べるべきものは多いが、やはり塩ホルモンは外せない。塩ダレではなく軽い塩、胡椒だけで供するのは、鮮度と処理への自信の証。切り置きはせず、注文後に一枚ずつカット。近頃の高級焼肉店が謳い文句にする仕事を、小倉で創業した三十余年前から続けてきた。
かりっと焼いたシマチョウは、程よい噛み心地と溶け出す脂のクリアさにしびれ、臭みも雑味もないセンマイの軽やかさは山菜のごとし。焼肉屋の「仕事」を味わうならばやっぱりホルモン。焼肉好きに愛され続ける「韓灯」を訪れるたび、しみじみ思う。
文:佐々木ケイ 写真:徳山喜行
※この記事の内容はdancyu2017年10月号に掲載したものです。