恵比寿駅から少し歩くと見えてくる、窓から溢れる温かい光。「小泉料理店」は美味しく気の利いた料理とナチュラルワインが楽しめるビストロです。今まで通りとはいかないけれど、ちょっと外で呑みたい気分の日に訪れてみてはいかがでしょうか?
わかってらっしゃる!と手を打ちたくなる。何を?酒呑みのココロを、だ。ある夜のアミューズは、ココット皿にこんもり盛られたベビーそら豆。食事の最後まで、果てしなくつまめるうれしさたるや。ワインはナチュラルのみで約200本。日替わりのアイテムがグラスで飲める。「お一人で、あれこれ種類を試せるように」と店主の小泉洋さん。自身も無類のワイン好き。よって、注ぎっぷりも気前よい。
料理の一押しは「注文の9割を占める」という、その名も“おまかせアテコース”。十八番のフレンチに、和のだしやアジアンな香りを巧みに練り込んだ前菜、野菜、魚、肉の全皿が5000円台から。「マーケットの売れ残りの有機野菜、モツや切り落とし肉など、フードロスをなくす食材選びをしているからできる」良心価格だ。
いやが上にもワインを呼ぶ塩味、スパイス使いの鮮やかさ。“アテ”と呼ぶには惜しみないボリューム。
マジシャンのように正確なサービスの間合いも小気味よい。
「旨い酒と料理。値段と量とスピード感。全部あっての満足感と思うから」
やっぱり、わかっていらっしゃる。
文:堀越典子 写真:本野克佳
※この記事の内容はdancyu2019年7月号に掲載したものです。