スパイスカレー旋風がついにカツカレー界に到達!サラッとしたカレーに軽いカツ。今までのイメージを一変させる、この新しいカツカレーをdancyuは“SKC”(スパイスカツカレー)と命名します。生まれ変わったカツカレーをいち早く食べられる店をご紹介。いざSKCの世界へ!
とんかつ屋ではない。カレー屋でもない。カツとカレー、両方に軸足を置き、旨さの最高到達点を求めたのがこの店だ。「ジーエス(GS)」とは洋食「旬香亭」の総帥、斎藤元志郎さんのイニシャル。フレンチの名手にして洋食を極め、とんかつ専門店も開く稀有な料理人が手がけた店だ。
ロースカツカレーは、中央にライス、左手にカレー、右手にカツという布陣で登場。目を見張るのはカレーの黒さだ。ベースとなるのはスリランカのブラックカリー。焙煎したスパイスパウダーによる芳ばしい香りが立ち、辛さもシャープ。奥には鰹節のだしや梅の酸味も潜み、和を感じる深みのある味わいが堪らなくライスに合う。
対するロースカツは衣から立つラードの甘い香りに一口目から釘付け。中心をロゼ色に染めた肉は、楚々とした甘味を迸らせる。豚肉はメキシコ産。「あっさりとしてカレーに合う」と店長の片山茂晴さんは言うが、まさしく。黒いカレーが極上のソースとして、カツの旨味を持ち上げるのだ。
カレーとカツを単体で味わいつつライスの結界を崩し、最終的に渾然一体の妙を味わうのがセオリーだが、悩むのは融合させるタイミング。3切れ目か、4切れ目か。最適解を求めてまた足が向く。
文:上島寿子 写真:竹之内祐幸
※この記事の内容はdancyu2019年6月号に掲載したものです。