インフルエンザになって初めてわかることもある。たとえば、孤独のグルメとブルーハーツの接点を知ったり、ウグイス嬢に3万円を支払った件について詳しくなったり。寝ても覚めても、世の中はあたふたしていましたね。
インフルエンザに罹りました。
毎冬、世間を騒がせるだけあって、手強いものです。これまで目にしたことがなかった体温計の数字や、歯ガチガチ&体ブルブルの悪寒、節々がきしむような痛みなどなど、五十路の身体にこたえます。
自分だけは大丈夫。
そう思っていたんですよね。なぜ、そう思っていたのかはわかりません。根拠はないのに、確信はあった。日頃の行いを振り返れば、予防接種は受けない、手洗いもうがいも熱心にするわけでもなし、マスクもしない。どちらかといえば、自分は大丈夫じゃない、なのになぁ。
数日間の苦しみの後、平熱に戻れば、今度は所在がない。
しばらくは体内にウイルスが残っているというので、仕事場に赴くわけにもいかず、無闇矢鱈に外出するのも憚られる。インフルエンザは実に厄介です。
本でも読むかと読みかけの本を手に取っても、長時間の読書がままならないのが、最近の常。老眼のせいにしてますけど、どうなのかな。
結局、スマホかパソコンに相手をしてもらうことになる。
で、YouTube。高校生のとき、やっぱりインフルエンザに罹ったことがあって、あのときはNHKで放映された「インディーズの襲来」のビデオを何度も何度も観てたなぁ。そんなことを思い出しながら、さっそく検索。あるんだね。あの頃、ビデオの爪を折ったりして、VHSを大事にしていた自分がいじらしくなります。
そこからは、AIの流れに身をまかせ、日本のロックシーンの海を漂います。おー、永ちゃんの還暦ライブ、贅沢だわ。氷室とヒロトとマーシーが同じステージに立っているよ。ああもう、タイマーズの夜ヒットはいつ観ても痛快だ。なんとなんと、フジロックの前夜祭でヒロトと民夫とベンジーとルースターズの面々がラモーンズを歌っていたなんて。うーん、エレカシの初期はやっぱり緊張感があるなぁ。民夫の「innocent world」いいな。「世界の終わり」の弾き語りも素敵。ミッシェルの解散ライブの「世界の終わり」はぐっとくるなぁ。アベフトシの姿に泣けてくる。BOΦWYの最後の渋公、きちんと観たのは初めてかな。ブルーハーツが解散を発表したラジオも全部を聴いたの初めてだな。レベッカの早稲田祭のライブは神ががってるなぁ……もう、日がな、YouTube。
これが、令和的インフルエンザとの付き合い方なんですかね。
まだまだ寒い日がつづきます。みなさん、くれぐれもお身体ご自愛ください。
dancyu web編集長 江部拓弥
写真:エレファント・タカ