「Shinfula」10個のケーキ。
フォレノワール・漆|「Shinfula」のケーキ⑧。

フォレノワール・漆|「Shinfula」のケーキ⑧。

まるで宇宙船のような型をしたケーキ。「Shinfula」の中野慎太郎シェフがつくる「フォレノワール」は、日本の漆をイメージしている。美しいチョコレートの膜の内側に詰め込まれているのは、洋菓子の伝統と中野シェフのアイデアだ。

日本の菓子職人がつくる「フォレノワール」。

「フォレノワール」と聞いて、えっこれが?と思ったスイーツラバーも、きっと多いことだろう。
“黒い森”を意味する「フォレノワール」は、その名の通り、ドイツ南西部の森林地帯にちなんだもので、名産のチェリーを使ったケーキ。切り分けて食べるサイズのトルテ型がオーソドックスなスタイルで、ココアのスポンジと生クリームを重ねた中にキルシュ風味のチェリーを挟み、上から削ったチョレートをたっぷりとふりかけるのが一般的だ。

ケーキ
「フォレノワール・漆」605円。顔が映り込むほどに光沢を放つ佇まいは近未来のケーキを思わせる。

形がスクエアだったり、ロールケーキだったりと多少の変化球はあるにせよ、どの店も構成自体はさほど変わらない。しかし、中野慎太郎シェフのそれは想定外。

顔が映り込むほどに光沢を放つドーム型のケーキなのだ。
中は、キルシュ風味と紅茶風味のチョコレート、2種のムースに分かれ、中央付近にはキルシュ漬けのグリオットチェリーを忍ばせている。ムースのクリーミーな食感を受け止めるのは、スポンジ生地ではなくプラリネとチョコレートのフィアンティーヌ。そこにライスパフを加えているのも、中野シェフらしいアイデアだろう。

ケーキの断面
ケーキ上部にはキルシュ漬けのグリオットチェリー。表面は黒糖を加えたグラサージュショコラ、中にはキルシュ風味と紅茶風味のチョコレートと、グリオットチェリー、その下にはライスパフ入りのチョコレートフィアンティーヌ。

「ライスパフを入れることで、空気感と同時にボリューム感を出すこともできると思ったんです。それに、ライスパフって日本人でなければ、思い浮かばないアレンジだと思いませんか?」と中野シェフは楽しそうに語る。
伝統菓子を今一度見直し、日本の菓子職人としてつくり直す。そこに新たなオリジナリティが生まれるわけだ。”神への捧げもの”という意味のケーキ「アンブロワジー」を思わせるグラッサージュショコラの光沢は、まるで漆のよう。聞けば、そのグラッサージュにも黒糖を入れ、さりげなく和のテイストを加味している。

ケーキ
中野慎太郎シェフがつくるケーキは、洗練されたモダンな雰囲気の中にどこか和のテイストを感じることができる。

――12月13日へつづく。

店舗情報店舗情報

Shinfula
  • 【住所】埼玉県志木市幸町3-4-50
  • 【電話番号】048-485-9841
  • 【営業時間】11:00~19:00
  • 【定休日】月曜、不定休
  • 【アクセス】東武東上線「志木駅」より16分

文:森脇慶子 写真:馬場敬子

フォレノワール・漆|「Shinfula」のケーキ⑧。

森脇 慶子(ライター)

高校時代、ケーキ屋巡りとケーキづくりにハマってから食べ歩きが習慣となり、初代アンノン族に。大学卒業後、サンケイリビング新聞社で働き始めたものの、早々に辞めて、23歳でフリーとなり、食専門のライターとして今に至る。美味しいものには目がなく、中でも鮎、フカヒレ、蕎麦、スープをこよなく愛している。