明日、どこに食べに行こう?
炭火焼きの達人の"焼き"に身を委ねる幸せ|今年中に行っておきたい東京の和食店④

炭火焼きの達人の"焼き"に身を委ねる幸せ|今年中に行っておきたい東京の和食店④

「今日焼鳥食べたいなぁ」と思ったらぜひ行ってほしい焼鳥店が銀座にあります。その名は「バードランド」。炭火焼きの真価を知れる名店です。

今日は焼鳥日和!

「焼鳥日和ってあるよねえ」と語るは、「バードランド」の和田利弘さん。
「焼鳥は“今日食べたいなあ”ってものなんですよね」。御意!「焼肉や鮨、天ぷらもそうだけど、焼鳥って気分や体調がノッていないと、逃げ場がなくて辛くなっちゃうから」。なるほど、心当たり、あります。

焼くのが一番楽しい串は?の問いへの答えは、皮付きの“正肉”「肉を焼いてる!って感じがするよね」。1,080円。

1987年に阿佐ケ谷で開店。雑誌の記事をきっかけに人気が爆発し、連夜満席の店内には客が放つ「この焼鳥を食べたくて来た!」というグルーヴが満ちていたという。2001年、銀座に移転。が、当初は、少々勝手が違った、と和田さんは振り返る。
「銀座は、東京の中心。しかもこの場所は便利だから、買い物ついでや接待の場所として、というお客さんも当然いらっしゃるよね」。

扱う鶏は、和田さんと“同郷”の茨城県産・奥久慈しゃも一筋。程よい弾力があり、脂の少ない肉質に惚れ込んでいる。
ワインのラインナップは、プロに驚かれるという注目の生産者のものが揃う。右からイタリアの白ワイン6,912円、ドイツの辛口リースリング6,480円、オーストラリアのピノ・ノワール11,880円。

いやしかし、時を経て銀座の名店として成熟した2017年の「バードランド」、なんと居心地の良いことか。鶏の旨味を引き出す“焼き”を堪能できる過不足ないコース(カウンター席はアラカルトもOK)に、和田さんが飽くなき探究心で揃えた、酸を重視したワイン、行き届いた接客。

手前から、わさび焼き540円、レバー、皮各432円。それぞれ、硬くせず、縮ませず、パサつかせず、が肝要。「皮は外国のお客さんのお代わり率No.1 です」。
軍鶏皮の二杯酢540円。「ふくらはぎの肉をそぎ取って皮のほうに筋膜を残しているんです」

己の食欲を素直に委ねれば、舌と胃袋は喜び、心ほどける。かくして「この焼鳥を食べたくて来た!」が、やっぱり充満。ああ、なんていい夜だ。

店舗情報店舗情報

バードランド
  • 【住所】東京都中央区銀座4‐2‐15 塚本素山ビル地下1階
  • 【電話番号】03‐5250‐1081
  • 【営業時間】17:00~21:30(L.O.)
  • 【定休日】日月祝
  • 【アクセス】東京メトロ「銀座駅」C6出口より1分

文:小石原はるか 写真:福田喜一

※この記事の内容はdancyu2017年8月号に掲載したものです。