「今日焼鳥食べたいなぁ」と思ったらぜひ行ってほしい焼鳥店が銀座にあります。その名は「バードランド」。炭火焼きの真価を知れる名店です。
「焼鳥日和ってあるよねえ」と語るは、「バードランド」の和田利弘さん。
「焼鳥は“今日食べたいなあ”ってものなんですよね」。御意!「焼肉や鮨、天ぷらもそうだけど、焼鳥って気分や体調がノッていないと、逃げ場がなくて辛くなっちゃうから」。なるほど、心当たり、あります。
1987年に阿佐ケ谷で開店。雑誌の記事をきっかけに人気が爆発し、連夜満席の店内には客が放つ「この焼鳥を食べたくて来た!」というグルーヴが満ちていたという。2001年、銀座に移転。が、当初は、少々勝手が違った、と和田さんは振り返る。
「銀座は、東京の中心。しかもこの場所は便利だから、買い物ついでや接待の場所として、というお客さんも当然いらっしゃるよね」。
いやしかし、時を経て銀座の名店として成熟した2017年の「バードランド」、なんと居心地の良いことか。鶏の旨味を引き出す“焼き”を堪能できる過不足ないコース(カウンター席はアラカルトもOK)に、和田さんが飽くなき探究心で揃えた、酸を重視したワイン、行き届いた接客。
己の食欲を素直に委ねれば、舌と胃袋は喜び、心ほどける。かくして「この焼鳥を食べたくて来た!」が、やっぱり充満。ああ、なんていい夜だ。
文:小石原はるか 写真:福田喜一
※この記事の内容はdancyu2017年8月号に掲載したものです。