肌寒くなってくる季節に食べる里芋料理といえば、体がほっこり温まる煮物。里芋の旬の旨味を活用する調理法を知りながら、大根と柚子と一緒に煮物をつくりましょう。料理研究家の植松良枝先生が、これだけは外せないと語る一品を披露します。
秋が深まりを見せると、里芋はふっくら大ぶりなものが出回ってきます。
時季を同じくして、大根と柚子も旬を迎え始めます。これらを一緒くたに煮てしまうのが私の秋の定番料理。
お餅のようにねっとりと煮えた里芋をたっぷりの柚子おろし出汁でいただく幸せといったら、里芋料理の真骨頂とも言えるほど魅力たっぷりな味わいです。
この料理に使う里芋は、ぜひとも大きくて丸くて滑らかな肌の里芋を使ってみてください。
似たような大きさの里芋を丸ごと煮るのが豪快でおすすめですが、半割などにして大きさを揃えて煮ても良し。煮崩れはしないけれど箸で簡単に割ることができる頃合いまで火を入れていくので、途中で里芋の中心部を箸で刺して柔らかく煮れているかチェックすることが大切になってきます。
里芋の皮を剥くときは、なるべく水分に付けないようにするのが手際を良くするコツです。
ナイフで乾いた里芋の皮をこそぐようにすれば、特有のぬめりは出ませんし、なにしろ薄く剥くことができます。
ケバケバした里芋の毛が付いたりもしますが、洗うのはぐっと我慢!鍋へ入れる直前に湿らせたキッチンペーパーでケバをしっかりと拭えば大丈夫です。
もしも途中で洗ってしまうと、途端にぬめりが発生し、煮物のだし汁までとろみがついてしまいます。サラッとした煮物にしたいのであれば注意が必要です。
「里芋を洗うのは干す前の一度だけ」と肝に命じておきましょう。
里芋 | 6個 |
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大根 | 8cm |
柚子 | 1/2個 |
三つ葉 | 4本 |
だし汁 | 600ml |
酒 | 大さじ2 |
薄口醤油 | 大さじ2~2と1/3 |
大根は皮を剥いて、すりおろし器で大根おろしにする。すりおろした大根はキッチンペーパーで水気を絞っておく。柚子は適量の皮をうすく削ぎ取り、3cmほどの長さに刻む。
里芋は皮を剥き、湿らせたキッチンペーパーで表面を拭いておく。だし汁を入れた鍋を中火にかけて、煮立ったら里芋を入れる。酒とうす口醤油を加えて蓋をしたら、里芋の中心に箸がスッと刺さるようになるまで20分ほど弱火で煮る。
大根おろしを鍋に加えて3分ほど煮て、柚子の搾り汁加えて火を止める。
器によそい、柚子の皮と三つ葉を添えてでき上がり。
―――つづく。
文:植松良枝 写真:宮濱祐美子