旬の野菜の知恵袋。
山ウドと豚肉で天むす風ごはん。

山ウドと豚肉で天むす風ごはん。

卯月は山ウドが香り高くなる季節。今日の献立が決まっていなければ、山の幸で食卓に春の味覚を加えてみませんか?山ウドを豚肉、ちくわと一緒に揚げて、食べ応えたっぷりな天むす風ごはんをつくりましょう。

山ウドをかき揚げにして甘辛く食べましょう。

山ウドは、宿根草という類。冬には枯れ、春になると毎年同じ場所から芽を出します。
夏には木のように大きくなりますが、あくまでも“草”なので幹のように見える太い茎の中はスカスカの空洞。大きく育っても材木として使えるわけではありません。
“体ばかり大きくて役に立たない”という意味の「ウドの大木」という言葉は、このような残念な生態が由来のようです。

植松良枝さん曰く「ウドは調理法で食感が変わる不思議な食材です」。

山菜が採れる季節(地域によって変わりますが、3月末~6月初旬あたり)になると、野菜の直売所には葉がわさわさと茂ったピンク色の山ウドを見かけます。野生味あるワイルドな香りを愉しめるので、茎はせん切りにしてきんぴらや炊き込みごはん、葉は天ぷらにするのが良いでしょう。

たっぷりの油でカラッと揚げた山ウドは、茎の甘味が強くなります。

山ウドを豚肉、ちくわと一緒にかき揚げにして甘辛く味付けし、白いごはんと段々に重ねます。ごはんと混ぜないで、段々に重ねるのがポイント。米粒が潰れてべちゃっとした仕上がりにならないためのテクニックです。
「山ウドと豚肉の天むす風ごはん」と名付けましたが、天むすよりも多くの具材と一緒に、適度に甘辛だれが染みたごはんを味わうことができます
揚げたウドはシコッとした食感と爽やかな香りがします。濃い味付けの中から、時折、顔を出すウドの風味を味わってみてください。

お好みで山椒をかけるとウドや三つ葉の香りと合わさり、山の香りを感じるような味わいになります。

山ウドと豚肉の天むす風ごはんのつくり方

材料材料 (4人分)

山ウド200g(正味)
ちくわ60g
豚こま切れ肉120g
溶き卵1/2個分
冷水120ml
薄力粉1/2カップ強
めんつゆ1カップ(ストレート)
2合
三つ葉1/2束
揚げ油適量
材料

1下準備

米を炊き上げる。

2切る

ウドは皮付きのまま縦半分に切った後、厚さ3~5mmの斜めうす切りにする。
ちくわもウドと同じ大きさに切り、豚肉は2cm幅に切ってほぐしておく。

ウドを加熱して使うときは、皮が付いていた方が香り高くなります。
具材の大きさを揃えることで、揚げ上がりのムラがなくなります。

3混ぜ合わせる

大きめのボウルに2をすべて入れ、薄力粉大さじ1~2をまぶす。別のボウルに溶き卵と冷水、薄力粉1/2カップを合わせて、2の具材同士がくっつくようになるまで混ぜ合わせる。

衣を少しずつ加えて、その都度混ぜ合わせます。
すべての具材に衣がまとっている状態になればOK。

4揚げる

揚げ油を170度に熱し、ひと口大に平たくまとめた3を3~4分ほど揚げて、余分な油をきる。

揚げ色はこのくらい。バットなどにあげて、余分な油を落としましょう。

5煮絡める

フライパンでめんつゆを熱して、半分くらいの量まで煮詰まったら、4を加えて煮からめる。かき揚げをバットや大きな皿に取り出して、キッチンバサミなどで2cmほどの大きさに細かく刻む。フライパンに残っためんつゆは仕上げの味付けで使うので、おいておく。

めんつゆが煮詰まっているところにかき揚げを浸すようにからめます。

6盛り付ける

炊きたてのごはんを大きめの皿に半量強、平たく盛り付ける。5と三つ葉をそれぞれ半量強散らし、さらに残りのごはんとかき揚げ、三つ葉を同様に散らす。煮詰めためんつゆを全体に回しかけて、でき上がり。

三つ葉をたっぷり散らしましょう。
下の段が少し見えるように、2段目のごはんを盛りつけます。
冷めても、めんつゆがかき揚げに馴染んでしっとりした味わいになります。

文:植松良枝 写真:宮濱祐美子

植松 良枝

植松 良枝 (料理研究家)

四季に寄り添った食と暮らしを提案する料理研究家。菜園での野菜づくりがライフワーク。春夏秋冬それぞれの季節が極まり、次の季節の準備期間である「土用」を暦の中でも特に大切にしている。一児の母となり、忙しい日々の中で家族への想いも増してさらに深く土用を考えるようになった。