山の音
君の名は、なに?
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君の名は、なに?

夏と言えば、海、アイスクリーム、山、カレー、甲子園、すいか、猛暑、枝豆、クーラー、とうもろこし、サザンオールスターズ……思い浮かぶイメージはそれぞれだけれど、もし名前が違っていたら、夏感はあるのかな。たとえば、サザンオールスターズがシマウマという名前だったら……名は体を表すとは、そういうことかな。

その名前もいい感じに聴こえるのであろうか

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バンドの名前って、考えてみると変な感じがしますよね。
「恥」も「ごめん」も笑えますが「赤い辛い唐辛子たち」「王子と革命」「涅槃」もなかなかである。
日本にも「こどもさん」って大物がいるな。「ヤバイTシャツ屋さん」「ゲスの極み乙女」「神聖かまってちゃん」は、言わずもがなである、ちょッと傾向違うけど。
バンドがメチャ売れると、だんだん耳に馴染んで普通に響いてくるものなのか。あるいは、メガヒットじゃなくても、長年バンドが続いてシーンの中で存在感を放つようになると、その名前もいい感じに聴こえるのであろうか。
ちなみに「大森克己」という名前、ボクの写真は知っていて、面識がなかったという人に初めて会うと、もっと怖い人だと思ってました、と言われることが結構多い。大、が威圧感を醸し出し、克己心、という硬く真面目な連想が相まっているのかしら。事務所の名前を「ごめん」にしてみるか。「いつもお世話になっております。『ごめん』のオオモリです。先日のご依頼の件ですが……」みたいな。

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コンビニでは、気づくと花火が売られている

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ラテン語圏、特に南米には「ヘスース」「Jesus」という名前の人がときどきいますが、前にイギリス人の知り合いに訊ねたら「ジーザス」っていうのは、名前としては英語圏の人間にとってはあり得ないらしいっス。「はじめまして。仏陀です」などということを、冷房の効いたスターバックス広尾店の3階で、聖心女子大の学生ふたりと、どこかの男子学生ひとりが濃厚にイチャイチャしているテーブルの隣に座って考えていると、そろそろ次の撮影の時間である。
夏の日射し溢れるスープ屋の店内の明るい雰囲気が夕暮れに向かって時間の経過とともに変わっていく感じを複数の写真で表現したい、というクライアントの意向である。先週以来、雨続きで延期になっていたのだ。ただ光に敏感であれば良いのか、それとも匂いや音も気にするべきか、無意識下で考えているような気もするが、そんなことは嘘かもしれない。窓から通りを挟んで見える緑が濃い。大使館が近所に多いこともあり、様々な肌の色の人が行き交う。ドップラー効果、店内のBGMで踏切を電車が通過する。「The Beach Boys」の『Caroline No』の最後の部分。犬の遠吠え。フェード・アウト。台風の予感。コンビニでは、気づくと花火が売られている。

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――8月25日につづく。

文・写真:大森克己

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大森 克己(写真家)

1963年、兵庫県神戸市生まれ。1994年『GOOD TRIPS,BAD TRIPS』で第3回写真新世紀優秀賞を受賞。近年は個展「sounds and things」(MEM/2014)、「when the memory leaves you」(MEM/2015)。「山の音」(テラススクエア/2018)を開催。東京都写真美術館「路上から世界を変えていく」(2013)、チューリッヒのMuseum Rietberg『GARDENS OF THE WORLD 』(2016)などのグループ展に参加。主な作品集に『サルサ・ガムテープ』(リトルモア)、『サナヨラ』(愛育社)、『すべては初めて起こる』(マッチアンドカンパニー)など。YUKI『まばたき』、サニーデイ・サービス『the CITY』などのジャケット写真や『BRUTUS』『SWITCH』などのエディトリアルでも多くの撮影を行っている。