カレー好きから絶大な人気を誇る「Kalpasi(カルパシ)」がdancyu祭に登場!数多あるスパイスカレーの中から、北インドでは誰もが日常的に食べているという、定番の豆カレーが祭で食べられます!
駅から離れた住宅街にひっそりと佇む「Kalpasi」は、スパイス好き、カレー好きの聖地だ。店主である黒澤功一さんのつくる、香り豊かで洗練された味わいのカレーの種類は数知れず。メニューは週替わりのおまかせ一本。その中で繰り出される野菜カレーが中心のミールスや、肉、魚、豆カレーが入ったターリーの鮮やかなスパイス使いが多くの人を魅了する。
今回の祭でつくってくれるのは、豆カレーのダールタルカ。「北インドでは庶民の味。誰もが日常的に食べているのが、挽き割り豆のカレーなんです。僕も大好き」と黒澤さんはにっこり話す。
ツールダール(樹豆)、ムングダール(緑豆)、マスールダール(レンズ豆)、チャナダール(ヒヨコ豆)、ウラドダール(ケツルアズキ)という5種類の挽き割り豆は、あらかじめ皮を外してあるので、煮込んでいくうちにとろみが出て、粒を残しつつもポタージュのようななめらかな舌触りになる。
使うスパイスは、コリアンダーシードやターメリック、クミンシードやフェンネルシード、マスタードシードなど。ここにアムチュール(マンゴーパウダー)を加え、軽い酸味を出している。湯気とともに立ち上るこれらのスパイスの香りは、重層的に成り立っているものの、どれか一つが突出することなく、上手に一つにまとまっている。ふんわりと鼻を覆い、なんとも食欲をかきたててくる豊かさがある。
豆のカレーといえば質素な印象があるかもしれないが、今回のカレーは奥行きがあって厚みを感じさせる味わいだ。
「スパイスに高温の油をかける工程があるのですが、この時に、バターを熱してつくるギーを使っています。それも多めの量で。なので、豆のカレーといえども、このギーでコクが出ているので、想像よりもリッチな味になっていると思いますよ」と黒澤さん。
仕上げにはフレッシュのコリアンダーをたっぷりと。これがスッと爽快感を出し、飽きずにいくらでも食べられそうな味になっている。
セットのチャパティは全粒粉を使ってつくったパンで、北インドではナンよりもこちらが一般的。薄く伸ばして焼いているが、意外と食べごたえがあり、素朴ながらも粉の風味が感じられる。
さらに、シナモンやカルダモンなど、スパイスの香りをこれでもかと効かせた甘いチャイを合わせれば、気分は完全に北インドへと飛ぶ。
このチャイ、実は店一番の人気のドリンク。食中に食後に、酒を飲める人も飲めない人も必ずオーダーする一品。
会場であれこれ食べた後は、胃袋に優しくしみわたる温かいチャイで締めてみてはいかがですか。
※当日は内容や盛り付けが変更になる場合もあります。
文:浅妻千映子 撮影:伊藤菜々子