東京・東日本橋にある「ビーバーブレッド」は行列の絶えないパン屋だ。今回は店でも人気の“九州の明太フランス”とバターの風味が効いた“サブレ”を用意。会場でお酒と合わせても、翌日の朝食にもお薦めです!
店主の割田健一さんは「ブーランジェリーレカン」をはじめ、銀座のグランメゾンの「レカン」グループのすべてのレストランのパンを見ていた人物である。その割田さんが開いた東日本にある「ビーバーブレッド」には、ハード系やデニッシュ系という、レカン時代に手がけてきたお洒落なパンだけではなく、クリームパンやメロンパンなど親しみやすいパンも並ぶ。
「自分の店を始める時に、周りの人に好きなパンを聞いたんです。そうしたら、出てくるのはクリームパンやカレーパン、メロンパン、明太フランスなど、日常のパンを答える人が多くて。今までと同じことをやっていてもつまらないと思ったし、お客さんが喜んでくれるならやってみようかなと。それに日常のパンを本気でつくったら、面白いものができるかもしれないと思えたので」と割田さん。
そんな挑戦が実を結び、ここでしか食べられない最上級の普通のパンが生まれた。たとえば昔ながらのグローブみたいな形をしたクリームパン。中に入っているカスタードクリームは、レカン時代のレシピと同じくバニラビーンズがしっかり入ったリッチな味わい。カレーパンのフィリングも、知り合いが作った本格的なレシピ。辛さはなく、ほとんどビーフシチューのようで、洋食を食べているような贅沢さを感じられるものになっている。メロンパンには、チョコチップではなくカカオニブが混ぜられ、上質な香りとほろ苦さが後をひく。そんなふうに、親しみやすさがありつつも、割田さんらしさがところどころに散りばめられているのだ。
店のある東日本橋は、オフィスと住宅の両方がある。ランチのパンを買いに来る会社員もいれば、毎日の食パンや子どものおやつを買いにくるファミリーも。幅広い品揃えでみんなを楽しませてくれる店は、今日もお客さんが絶えない。
※当日は内容や盛り付けが変更になる場合もあります。
文:浅妻千映子 撮影:伊藤菜々子、山田薫