米をつくるということ。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ、棚田で稲刈り!

雨ニモマケズ、風ニモマケズ、棚田で稲刈り!

10月5日(土)、6日(日)に開催した「みんなで稲刈り!!!」。

dancyuのwebで開催した稲刈りツアーの2日目。あいにくの雨にも負けじと米を収穫した後には、イベント恒例のご馳走が稲刈り隊を待っていました。秋の魅力をギュッと詰め込んだイベントのレポートです。

雨の中、光のトンネルへと向かうのだ。

2019年10月に行われた稲刈りツアー。
1日目は稲刈り&芸術鑑賞&秋の味覚&米づくりのトークショーと盛り沢山の内容を堪能し、稲刈り隊の一行は小学校をリノベーションした宿泊施設「三省ハウス」で2日目の朝を迎えたのでした。

窓の外を見ると、しとしと降っているのは、雨。
土砂降りというわけではないけれど、稲を刈るにはあまり好ましくない天候。午前中に松代の棚田で稲刈りをする予定でしたが、この雨ではいささか苦戦しそうです……。
朝8時の食堂で朝食を食べながら、稲刈り隊は作戦会議を開きます。
天気予報では、昼過ぎの降水確率が下がっている。ここは午後に予定していた「大地の芸術祭」のアート作品の中でも一番人気を誇る「Tunnel of Light」を先に鑑賞しようではないか!
やまない雨はないと、バスへと乗り込みます。

バス
雨の中、バスが向かうのは「Tunnel of Light」。マ・ヤンソンが手掛け、2018年にお披露目したばかりの作品。
Tunnel of Light
「Tunnel of Light」は旧「清地峡渓谷トンネル」を改装したアート作品。全長750mに渡って、渓谷の間を縫うようにして続いている。
Tunnel of Light
長いトンネルを潜水艦に見立て、所々に外界を望む展望台が設けられている。。
Tunnel of Light
いきなり現れた、宇宙船のような佇まいのオブジェ「見えない泡」。両脇には中へと続く入り口が……。
Tunnel of Light
「見えない泡」の正体はなんと、トイレ!しかも中から外が見渡せるマジックミラー仕様。これも光の屈折を利用したアート作品なのだ。
Tunnel of Light
トンネルの最深部にあるのは、さらに奥へと続く清津峡を望める展望台「ライトスケープ(光の洞窟)」。うすく張られた水面には、まるで写鏡のようにシルエットが浮かび上がります。

「Tunnel of Light」から望む清津峡渓谷は、日本の三代渓谷のひとつ。

柱状に突き出した雄大な岩礁と、麓に流れる清地川を眺めながら進む750mは、光を駆使した現代アートと見事に融合しています。

一行が長い長いトンネルから抜け出すと、さきほどまで降っていた雨はすっかりやんでいました。

さぁ!いよいよ最後の稲刈りだ!

足湯
稲刈りの前に「Tunnel of Light」のエントランス施設にある足湯「潜望鏡」でしっぽり……。天井の鏡を通して、建物の周囲の風景を堪能できます。

雨ニモマケズ、風ニモマケズ、稲ヲカル。

棚田のある「農舞台」に集結した稲刈り隊。雨はやんだが、空はまだ曇天の様相です。

急な雨への備えをして、いざ再びの棚田へ!

稲刈り
昔ながらの雨具「着ゴザ」を装備!通気性もよく、軽い!これも米づくりならではの体験だ。
稲刈り
たまたま近くを通りかかり、助太刀に入ってくれた地元の農家の山賀一さん。「向こうから雨雲が来てる。10分ほどで雨が降るぞー」。

初日よりもテキパキと収穫を進める稲刈り隊。
一度経験した動きが、一晩超えても体にしみついています。稲を刈り取り、腰に差した藁でくるくるっと結んでいく。

稲を刈り進める面々の口から聞こえてきたのは、でき上がった米をどのようにして食べたいか……。ということ。

「まずは白米だけで食べて、粒の味を噛みしめます!」
「アツアツの味噌汁で、グッと流し込みたいです」
「白米には梅干しというのは昔から決まっている!」
そんな会話を交えているうちに、稲穂が実っていた棚田は、野球少年の頭さながらにみるみる刈り上がって行きます。

稲刈り
大自然の中で行う米の収穫は、なんとも気持ちが良いものです。
稲刈り
アラヨッ!とまとめた稲を畔までパス!効率を上げてどんどん刈り進めます!
稲刈り
地元の農家さんの予言通り、再びしっとりとした雨が降り始めます。思いのほか、稲刈りで火照った体に雨が気持ちいい!
稲刈り
ちびっこ稲刈り隊も、懸命に収穫のお手伝いをします。
稲刈り
すっかり鎌と稲が似合う佇まいになった稲刈り隊員。
稲刈り
こちらの母娘は田植えから参加してくれました。素敵な思い出として心に残りますように。
稲刈り
収穫もラストスパート!刈り取った稲を全員で手分けをして、どんどん干して行きます。
稲刈り
米づくり名人小林昇二さんも助太刀に駆けつけて、無事に米の収穫を終えた稲刈り隊。

夏の暑さと台風の脅威を乗り越えて、元気に育った稲を収穫し終えた稲刈り隊。
上達した稲刈りの腕前をお互いに称え合いながら「農舞台」に戻ると、ピロティには華やかな食事がずらりと並べられています。
「つむぎや」のマツーラユタカさんと「青果ミコト屋」の鈴木鉄平さんが、腕を奮ってくれた料理とともに稲刈り隊のことを出迎えてくれました。

昼食
「つむぎや 」のマツーラユタカさんが振るまってくれた昼食は「青果ミコト」で扱う伝統野菜を交えた全8種類のメニュー。
柿と紅芯大根と葉物のカボスマリネ。疲れた体に瑞々しい野菜がしみ入ります。
稲刈りを終えて、待ちに待った昼食。「この昼食が一番楽しみでした(笑)!」という声も聞こえてきました。
黒酢に焼き漬けた鮭のおむすび、コリンキーと八丁きゅうりの浅漬け、梅酢で炊いたごはんのおいなりさんなど、食べ応えたっぷりな品に目移りしてしまいます!
体を動かした分だけ、ごはんがおいしく感じます。
料理を振る舞ってくれた「青果ミコト屋」の鈴木鉄平さんと「つむぎや」のマツーラユタカさん。前日にイベントがあった東京から新潟まで稲刈り隊のために駆けつけてくれました。

気持ちの良い疲労感が残る体に、ご馳走をたらふくかき込んだ面々は、充実感が満ち溢れている様子。

汗水をたらして収穫した棚田の米は、脱穀して稲刈り隊の元まで届きます。普段、当たり前に口にしている米を自分たちでつくるということ。きっとこの経験がこれから食べる米をもっともっとおいしくしてくれるはず。
稲刈りの思い出と一緒にバスに乗り込み、現地の方達に手を振りながら東京への帰路へと着くのでした。

新潟の方
1泊2日の寝食をともにした新潟の仲間たちと「農舞台」でお別れ。お世話になりました!

写真:阪本勇