食欲の秋、収穫の秋、芸術の秋。dancyuのwebで結成した稲刈り隊が米処の魚沼へ。稲刈り&芸術鑑賞&秋の味覚&豪華トークショー。内容てんこ盛りだった稲刈りツアー1日目の様子をレポートします。
2019年10月5日。dancyuのwebが結成した稲刈り隊は新潟県十日町市へと向かいます。5月に植えたコシヒカリの苗が穂を実らせる時季となり、待ちに待った収穫のときがきたのです!
稲刈り隊には、田植えに参加した顔ぶれもちらほら。心を込めて植えた苗が成長した姿に、期待で胸が高鳴ります。
当日、新潟に直撃すると思われた台風18号「ミートク」の進行が早まり、天気は台風一過の稲刈り日和。
絶好のコンディションではあるものの、棚田の稲は、前日の強烈な雨風に晒されたそう。果たして稲穂は無事なのだろうか。台風によってすべて攫われてしまっていないだろうか。
ハラハラドキドキ。心持ちは、子を旅に出した親のよう。
すでに収穫を終えている畑を眺めながら、想いを馳せていると、あっという間に我らの棚田がある十日町市に到着!
大地の芸術祭の拠点でもある「農舞台」で稲刈り隊を出迎えたのは、現地スタッフの淺井忠博さん。
「みなさん、遠路はるばるお疲れ様でした。棚田の稲は元気に育っていますよ。昨日の台風で畑がぬかるんではいますが、予定通り米を収穫しましょう!」
稲刈りの前に「越後まつだい里山食堂」のビュッフェでエネルギーチャージした面々は、大いに気を吐きながら、棚田へ向かいます!
坂道を登り棚田がある方角を見下ろすと、風に揺られる稲が一面に咲き誇り、黄金色に輝く田んぼが目に入ります。
あぁ。よかった。淺井さんの言葉通り、稲は力強く元気に育ってくれていたようです。
棚田で稲刈り隊を待っていたのは、苗が育つまでの過程を藤原智美さんが綴った「米をつくるということ。」でお馴染み、米づくり名人の小林昇二さんと現地スタッフの方々。
稲の刈り方と、縛り方を実演して見せてくれます。
「鎌は稲の根本に当てて、力強く手前に引く」
「刈り取ってまとめたら、乾燥させた藁で根本を縛る」
「しっかり縛らないと、脱穀するときに米の量が減ってしまうので、結び目は硬くしましょう」
名人たちの流れるような稲捌きに、稲刈り隊は目を丸くします。
「稲を結ぶ動きが流れるようだ!」
「無駄がなくてかっこいい!!」
「むずかしそう、できるかしら」
一抹の不安を抱きながらも、名人やスタッフに手順を教わった人から、ひとり、またひとりと田んぼに足を踏み入れて行きます。いよいよ稲刈りのスタートです!
刈り始めこそ鎌や稲の扱いに手こずっていた稲刈り隊でしたが、慣れてきた人が隣の人にコツを伝えては、じわじわと稲刈りのスピードを上げてゆきました。
あっという間に初日分の稲刈りを終え、気持ちの良い疲労感と達成感を味わいます。大粒の汗を垂らしながら清々しい笑顔でガッツポーズ!
メインイベントである稲刈りを終えた後は、バスで15分ほど走った松之山にある天然温泉「ナステビュウ」で、汗と土にまみれた体を癒します。
道中、林や畑の中にある農夫を模したパネルや鉄骨でつくられた現代アートのモニュメントを鑑賞。新潟県十日町市は自然の中に現代アートが点在する「大地の芸術祭」の舞台でもあるのです。
中でも稲刈り隊の期待が寄せられていたのは、今回の稲刈りツアーのために特別に公開してもらったクリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマンの「最後の教室」。廃校になった小学校をつくり変えたアート作品です。
バスが「最後の教室」に近づくにつれて、不思議とあたりが薄暗くなってきました。
たくさんの芸術作品を鑑賞した一行は、今晩の宿になる「三省ハウス」にやってきました。
荷物を運び込もうとして、玄関で目にしたのは「三省小学校」という看板。そう。今晩の宿も「最後の教室」と同じく、もとは廃校だったアート作品なのです。
「最後の教室」を鑑賞して、心がざわついている一行はドキドキしながら宿へと入ってゆきます。
「最後の教室」とは違い、明るく見通しの良い「三省ハウス」の雰囲気に胸を撫で下ろしながら、明日の稲刈りへの想いを胸に、眠りについたのでした。
――つづく。
写真:阪本勇