5月だというのに、真夏日となった土曜日、新潟県十日町市にある棚田で、田植えイベント「みんなで田植え!!!」を開催しました。
植えられた苗が稲に育ち、米が食卓に上がるまでを芥川賞作家の藤原智美さんがルポルタージュする「米をつくるということ」。その第一歩である田植えを、読者のみなさんとともに体験してもらう企画です。
天気は雲ひとつない快晴。日焼けが少し心配になるぐらいの、絶好の田植え日和!
集合場所のまつだい駅近くにある、まつだい「農舞台」のピロティで田植えの準備を整え、歩いて田植えをする棚田に向かいます。周りは美しい田園風景が広がり、わくわくするムードを盛り上げてくれます。
自然の中から時折顔を出す「大地の芸術祭」の芸術作品たちを眺めながら、歩くこと5分。田植え会場に到着。荷物を降ろすと早速、現地スタッフの竹中想さんの説明が始まりました。
この日は、紙マルチという新しい手法での田植えと、昔ながらの田植えを行ないます。いずれも手植え。紙マルチの田植えは、黒い紙を田んぼに敷き、紙を突き破りながら“コシヒカリ”の苗を植えていきます。無農薬での稲作での新しい取り組みで、紙が日光を遮るため、田植えから約1ヶ月の間、雑草の成長や、病原菌の繁殖を抑えることができるそうです。紙は約50日で溶けて自然に帰ります。
竹中さんが注意事項を説明します。
・腰を痛めるので、決して無理はしないでください。
・歩くときは、足はまっすぐに抜くこと。
・前のめりで歩くと、頭から田んぼに突っこんでしまいます。
その光景を想像した参加者さんに緊張が走ります。
さっそく田植えのスタート!
「冷たい!」
「泥が意外と気持ちいい」
「収穫したお米を食べるのが楽しみだね!」
みなさん、なんだか楽しそう。
水が張られただけの広い田んぼに驚きましたが、始まってしまえば、気持ちの良い汗をかきながらあれよという間に苗でいっぱいに。
つむぎやのマツーラユタカさんが腕によりをかけた料理が並んだ昼食や、みんなで一列に並んで植えた、クライマックスの古式田植えまで、あっという間に楽しい時が過ぎていったのです。
みなさん、本当に暑い中、お集まりいただき本当にありがとうございました!
これから、dancyuのwebでは、実際に米づくりを体験しながら、私たちの食生活の中心を担う「米」がいかにしてつくられるのかを伝える藤原智美さんによるルポルタージュ「米をつくるということ。」が始まります。
秋には稲刈りの読者体験イベントも企画していく予定です。
みなさまのご参加をお待ちしています!
――明日につづく。
1955年、福岡県福岡市生まれ。1990年に小説家としてデビュー。1992年に『運転士』で第107回芥川龍之介賞を受賞する。小説の傍ら、ドキュメンタリー作品を手がけ、1997年に上梓した『「家をつくる」ということ』はベストセラーとなる。主な著作に『暴走老人!』(文春文庫)、『文は一行目から書かなくていい』(小学館文庫)、『あなたがスマホを見ているときスマホもあなたを見ている』(プレジデント社)などがある。最新刊は『この先をどう生きるか』(文藝春秋)。1998年には瀬々敬久監督で『恋する犯罪』が哀川翔・西島秀俊主演で『冷血の罠』として映画化されている。
物書き料理家。金子健一ともにフードユニット「つむぎや」として活動。“食を通して人と人、満ち足りたココロをつむいでいく”をモットーに、書籍や雑誌、イベントなどで創作和食を提案。近年は五感をひらく体験を生み出す食べる瞑想のワークショップや、地元である山形県鶴岡市など、ご縁ができた土地の風を運ぶ活動にも力を入れている。2019年6月下旬、その地元である鶴岡に移住予定。『お昼が一番楽しみになるお弁当』(すばる舎)、『あっぱれ!おにぎり』(金園社)など著書多数。クレアWEBでは『マツーラユタカのがんばらないマイ弁当』を連載中。
写真:阪本勇