じゃがいも殿堂レシピ
【dancyu公式ポテサラ誕生!】じゃがいもを15kg使い、100通り以上の食べ比べをして生まれた、"日本一酒が進む"ポテサラレシピ

【dancyu公式ポテサラ誕生!】じゃがいもを15kg使い、100通り以上の食べ比べをして生まれた、"日本一酒が進む"ポテサラレシピ

この秋、dancyuは“日本一酒が進むポテサラ”決定戦を開催! ポテンシャルを見極める品種比べから始まり、加熱方法の差によって現れる芋の真価、つぶし具合の微妙な差が生む食感の妙、果ては膨大に広がる調味料やアレンジ具材の組み合わせまで。100通り以上の食べ比べの結果生まれた、dancyu公式ポテサラをご紹介!

合わせる酒を選ばない! dancyu公式ポテサラの誕生

われわれはポテトサラダ(ポテサラ)が大好きだ。家庭の食卓や弁当のおかずはもちろん、スーパーの惣菜からサンドイッチの具まで、いつだってポテサラは身近な場所にいる。

この十数年のポテサラは、酒場を中心に変化の歩みを進めてきた。ほぼマヨネーズのみだった味つけは、さまざまな調味料や香辛料が組み込まれ、燻製などの調理法も取り入れられた。素材にしても定番のハム、きゅうり、玉ねぎ以外の選択肢が増え、群雄割拠の様相を呈している。

今や誰もが得意な手法、好きな具材で、気軽に自分だけのおいしいポテサラをつくることができる。だが、そんな時代だからこそ、ポテサラのおいしさの根源を見直したい。定番の材料のみを使って、ポテサラ好きの、ポテサラ好きによる、ポテサラ好きのための、普遍的なおいしさを追求するのだ。

そこで今回は、「dancyu公式ポテサラ」の開発を兼ね、「P‐1グランプリ2026」を開催。近年の酒場ポテサラの進化に敬意を表して「どんな酒にも合うポテサラ」を目標に、食材や手法を試し、とにかくおいしいポテサラづくりを目指した。
予選リーグでは、じゃがいもの品種、加熱方法、下味の入れ方、つぶし加減、使う調味料、具材などを徹底的に考え直し、どんな酒にも合うポテサラを構築する。各リーグで繰り広げられる真摯な闘いと厳正な判定。最後に、グランプリを獲得するのはどんなポテサラか。途中「あの定番調味料、要らなくない!?」など議論が紛糾する場面もしばしばあった。
予選から決勝までの3日間、試作と審査に延べ18名がフル稼働した結果、参加者全員が自信を持って推す新定番調味料も決定した。

選考過程と候補素材・手法は誌面にてつまびらかにご紹介。惜しくも選に漏れた中からも、刮目すべき素材や手法が多数生まれた。そんな無数の候補の頂点に立ったのがポテサラの新定番にして決定版、「dancyu公式ポテサラ」だ!

調味料やスパイス&ハーブ
調味料やスパイス&ハーブは洋の東西を問わず、スタンダードなものを採用。ほかにも、アレンジ用の具材には高級チーズから缶詰、漬物、ポテトチップスまで用意した。

“にんにくをゆでて加える”という、ひと手間が生むおいしさ

ポテサラには無限のおいしさがある。今回はじゃがいもの加熱の仕方に始まり、つぶし具合に味つけ、トッピング――さまざまなおいしさがこのグランプリでしのぎを削った。

そんな中、頂点に立ったのは基本となるポテサラに和がらしとにんにくを忍ばせ、煎り胡麻をふりかけたもの。突飛なものは加えていない。かすかに香る和がらしはベーコンの味を引き立て、にんにくはじゃがいもにコクのある深みを与え、煎り胡麻はきゅうりの青臭さを爽快な香りに昇華させる。すべての具材、調味料の組み合わせに必然がある。

じゃがいもの調理から丁寧に行なうからこそ、少しの調味が効き、そのアクセントがポテサラを輝かせる。特別な味を加えていないから、どんな場面にも寄り添う。そもそも、ポテサラとはそういう食べ物なのだ。

和がらしにんにくポテサラ

和がらしにんにくポテサラのつくり方

材料材料 (4人分)

じゃがいも2~3個(300g)(男爵)
きゅうり1/2本(30g)
玉ねぎ1/4個(30g)
厚切りベーコン60g
にんにく2片
米酢小さじ2
マヨネーズ45g
練りがらし小さじ1/2
白煎り胡麻適量

1具材を準備する

じゃがいもは皮をむき、12等分に切る(水にさらさない)。にんにくは皮をむき、根元を切り落とす。きゅうりは輪切り、玉ねぎは横半分に切った上で薄切りにして、それぞれひとつまみの塩(分量外)でもむ。10分ほどなじませたら、流水で洗って固く絞る。厚切りベーコンは1cm角に切り、弱めの中火で全体に焼き目がつくように炒める。

2じゃがいもをゆでる

フッ素樹脂加工の小鍋に①のじゃがいもとにんにく、かぶるくらいの量の水を入れ、中火にかける。1分たったら弱火にして蓋をせずにゆでる。

じゃがいもをゆでる
でんぷんは、じゃがいもに含まれる複数の酵素により糖へと変化する。自然な甘味を増やすには、酵素が効果的に働く30~70℃の温度帯をゆっくり通過させる。

3じゃがいもを取り出す

②の鍋の水分がとび、粉吹き芋のような状態になったら、じゃがいもとにんにくをボウルに移す。ゴムベラで鍋の中も丁寧にこそぎ取る。

じゃがいもを取り出す
乾きすぎない程度に水分をとばしていくことで、ゆで湯に溶け出た成分を芋の表面に戻す。これにより、余すところなくじゃがいもの味を生かせる。

4じゃがいもをつぶす

③が熱いうちに酢を回しかけ、5割程度つぶすイメージで全体を混ぜる。にんにくは完全に潰す。

じゃがいもをつぶす
じゃがいもが熱いうちに酢を合わせると素材にしっかり浸透し、味がよくなじむ。フレンチでは鉄則とされる手法。

5具材と混ぜて完成

人肌程度までじゃがいもが冷めたら、①の残りの具材を加え、マヨネーズと練りがらしを加えて全体を混ぜる。皿に盛り、煎り胡麻をあしらう。

具材と混ぜて完成
マヨネーズは熱いうちに合わせると分離する。人肌程度まで冷ましてから和えることで、なめらかな舌ざわりをキープ。
26年秋号「じゃがいも殿堂レシピ」
26年秋号「じゃがいも殿堂レシピ」
ホクホク、シャキシャキ、サクッ、とろ~り。切り方や調理法でガラリと食感が変わり、食いしん坊を惹きつけてやまない、定番野菜の絶対的王者。それがじゃがいも! 圧倒的な旨さに食卓がどよめく、殿堂入りの68レシピをお届けします。

文:松浦達也 撮影:よねくらりょう

松浦 達也

松浦 達也 (ライター/編集者)

東京都武蔵野市生まれ。家庭の食卓から外食の厨房、生産の現場まで「食」のまわりのあらゆる場所を徘徊する。食べる、つくるに加えて徹底的に調べるのが得意技。著書に『教養としての「焼肉」大全』(扶桑社)、『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』(共にマガジンハウス)ほか、共著に『東京最高のレストラン』(ぴあ)なども。主な興味、関心の先は「大衆食文化」「調理の仕組みと科学」など。そのほか、最近では「生産者と消費者の分断」「高齢者の食事情」などにも関心を向ける。日本BBQ協会公認BBQ上級インストラクター。