じゃがいも殿堂レシピ
【じゃがいもレジェンド・レシピ】肉の旨味がしみしみ!コロッケの概念が変わる想像以上のトロトロ感。「目白 旬香亭」のミンチポテトコロッケ

【じゃがいもレジェンド・レシピ】肉の旨味がしみしみ!コロッケの概念が変わる想像以上のトロトロ感。「目白 旬香亭」のミンチポテトコロッケ

創刊36年の歴史の中で突出した、これぞ殿堂! と誰もが唸る極上の味。“じゃがいもレジェンド・レシピ”企画では、最高峰の技と愛がぎゅっと詰まった渾身の4皿をご紹介します。四皿目は、「目白 旬香亭」のミンチポテトコロッケ。じゃがいもと肉の旨味が溶けあう究極の逸品です。

これ以上のコロッケが、ほかにあるだろうか

20年前、この“ミンチポテトコロッケ”で、私の中のコロッケの概念が変わった。dancyuのライター歴27年、あらゆるレシピを取材してきた私が鼻息も荒く断言します。このコロッケは、間違いなく殿堂入りのベストレシピ!

わが家でも、もう何度つくったことだろう。普段のおかずはもちろん、宴会でも定番。海外の友人からも「あのコロッケを」とリクエストされるほど。どこがそんなに衝撃なのか。それは、ずばりとろとろ感。パン粉がツンツンと立ったサクサクの衣に箸を入れると、え? これクリームコロッケだっけ? と勘違いするほど、とろとろのじゃがいもが現れる。どっさりと混ざるのは、ジューシーさを残す粗挽きの豚肉。サクサクとろとろ&肉感の三重奏に、もううっとり。ポテトコロッケ=ホクホクを予想して口にすると、その認識が根底からひっくり返される。

当時のレシピは家庭向けのアレンジ版だったが、今回、料理長の古賀達彦さんに店と同じ完全版を教えてもらえることになった。バンザーイ!

古賀達彦さん
シェフの古賀達彦さん。創業者の齋藤元志郎氏の右腕として、長きにわたり活躍。2014年「目白 旬香亭」の開店時から料理長を務める。

まず、じゃがいもはメークインを使うこと。コロッケといえば男爵が一般的だが、しっとりしたメークインが食感に一役買っている。そして、もう一つの主役が豚肉。なにせ、じゃがいも500gに対して300gと大量に入るのだ。ミンチポテトコロッケと呼ぶ所以はここにある。店では機械で粗挽きにするが、家庭では肩ロースの塊肉を手切りに。できれば精肉店で、食感が硬くなる首側ではなく、適度に脂が混ざったリブロース側を選ぼう。たくさん入れるものだけに、良い肉を選ぶと、仕上がりにぐっと差が出る。
玉ねぎと豚肉は、焦がさないようにゆっくりと炒めて、肉のエキスをじわじわと引き出す。それをなんと、片栗粉で硬めの餡状にまとめたところへじゃがいもを投入。力を込めてひたすら練り合わせることで、豚肉から滲み出た旨味をじゃがいもが吸い取り、ねっとりとクリーミーに一体化するのだ。

冷蔵庫で一晩落ち着かせたら、後はたっぷりと贅沢に衣を着せて、油の大浴場でプカプカと気持ち良さそうに揚げれば、一度締まった種がゆるんで、あのとろとろが目の前に。

わが家でもさっそく試作し、完全版に更新完了! 丁寧につくれば、なじみのある料理がこんなにブラッシュアップするんだと実感できるはず。普段の食卓に寄り添う、最上等レシピだ。

ミンチポテトコロッケ
ホクホクのポテトコロッケもおいしいけれど、サクッ、とろっ、つぶつぶの食感を知ってしまったら、もうミンチポテトコロッケ一筋。まずはソースをかけずにそのままで。ご飯のお供やパンに挟むのはもちろん、軽やかな味わいはお酒のつまみにもぴったりなのです。

ミンチポテトコロッケのつくり方

材料材料 (15皿分)

じゃがいも3〜4個(500g)(メークイン)
豚肩ロース300g(塊)
玉ねぎ大1/2個(120g)
A
・ 片栗粉大さじ1と1/3
・ 薄口醤油小さじ1(またはウスターソース、*1)
・ 塩小さじ1/3
・ 胡椒少々
・ 水50ml
2個
生パン粉300g(*2)
牛乳40ml
薄力粉70g
適量
胡椒適量
揚げ油適量(*3)

*1 店ではタイの調味料、シーズニングソースを小さじ2入れる。
*2 店では、専門の業者に頼んで、低めの温度でも色がつきやすいよう、糖度が高めのパンを使った、かなり粗めのパン粉を使っている。
*3 揚げ油は菜種油などくせのないものを使う。

1じゃがいもを蒸す

じゃがいもを洗い、蒸気の上がった蒸し器で、火が通るまで30〜40分蒸す。

じゃがいもを蒸す

2下ごしらえ1

蒸している間に、ほかの下ごしらえをする。まずは、豚肉の筋や血管を取り除き、2mmの厚さにスライスする。冷蔵庫から出したての冷たい肉だと切りやすい。玉ねぎは粗みじんにする。Aをボウルに合わせておく。

豚肉を切る

3下ごしらえ2

スライスした肉を何枚か重ね、細切りにする。さらにみじん切りにして、脂身の部分を大さじ1ほど取り分けておく。

豚肉をみじん切り

4種をつくる

深さのある鍋を弱めの中火で熱し、③で取り分けておいた脂身を入れて軽く炒める。脂がしみ出てきたら、玉ねぎを入れ、3分ほど焦がさないように炒める。玉ねぎがしんなりしたら、豚肉を入れる。塩、胡椒各少々をふって約7分炒める。

種をつくる

5じゃがいもを潰す

肉を炒めている間に①のじゃがいもを確認。すっと串が通ったら、すぐ皮をむき、バットに入れ、マッシャーで潰す。芋の水分がとばぬよう手早く作業する。

じゃがいもを潰す

6調味料を加える

豚肉が白くなるまで火が通ったら、②のAを、底に沈んだ片栗粉をよく溶きながら加える。強火にして、木ベラで全体をよく混ぜる。次第に片栗粉の粘りが出てくる。

調味料を加える

7じゃがいもを鍋に加える

しばらく混ぜて粉気をとばし、全体がボテッとまとまったら火を止める。すぐに⑤のじゃがいもを加えて木ベラで練る。芋が熱々のうちに加えること。

じゃがいもを鍋に加える

8鍋中をよく練る

じゃがいもに粘り気が出て糸を引くようになるまでよく練る。これが仕上がりのとろとろ感に繋がるのだ。

鍋中をよく練る

9種をねかせる

バットに移して平らにならし、粗熱が取れたらラップをし、冷蔵庫で一晩置く。

種をねかせる

10成形&衣つけ1

ボウルに卵を割り入れ、牛乳を少しずつ加えながらホイッパーで混ぜる。泡立てないように白身を切るように混ぜる。

卵と牛乳を混ぜる

11成形&衣つけ2

⑨の種を10等分にし、団子状に丸めてから直径7cmくらいに平たくならす。

成形

12成形&衣つけ3

全体に満遍なく薄力粉をまぶす。よくはたいて余分な粉を落とすことが重要。右手のひらでくるんくるんと転がすように、卵液を全体に均一にまとわせる。

卵液をまとわせる

13成形&衣つけ4

たっぷりのパン粉の山にのせる。左手でその上からたっぷりのパン粉をかける。左手で上からそっと押さえるようにして、種にパン粉をつけてバットに並べる。

パン粉をつける

14成形&衣つけ5

全部並べたら一度手を洗い、今度は両手でふんわりと包むようにパン粉をつけ直す。すぐに揚げない場合は、濡らしたキッチンペーパーをかけておくとよい。

パン粉をつけ直す

15揚げる1

たっぷりの油を160℃に熱する。パン粉が焦げずにシュワッと広がるのが目安。

油の温度の目安

16揚げる2

種をそっと入れる。一度に揚げる数は、互いが当たらず、油の中でゆったり泳ぐくらいにすること。

揚げる

17揚げる3

温度が下がるので、火を少しだけ強める。種が底につかないよう、菜箸で下から軽く持ち上げる。大量に散った余分なパン粉を網杓子ですくう。サクサクの衣をまとわせるために、「必要な余分」だという。

余分なパン粉を網杓子ですくう

18揚げる4

コロッケが浮いてきたら、水分が蒸発して中まで火が通った合図。きつね色にするため、火を少し強める。

コロッケが浮いてくる

19完成

きれいなきつね色に色づいたら完成。揚げ上がりの油は170℃が目安。揚げ始めよりも高い温度で引き上げるとカラリと仕上がる。

店舗情報店舗情報

目白 旬香亭
  • 【住所】東京都豊島区目白2‐39‐1 トラッド目白2階
  • 【電話番号】03‐5927‐1606
  • 【営業時間】11:00~14:00(L.O.) 17:00~22:00(L.O.)
  • 【定休日】月曜(祝日の場合は営業し、翌火曜休み)
  • 【アクセス】JR「目白駅」より1分
26年秋号「じゃがいも殿堂レシピ」
26年秋号「じゃがいも殿堂レシピ」
ホクホク、シャキシャキ、サクッ、とろ~り。切り方や調理法でガラリと食感が変わり、食いしん坊を惹きつけてやまない、定番野菜の絶対的王者。それがじゃがいも! 圧倒的な旨さに食卓がどよめく、殿堂入りの68レシピをお届けします。

文:鹿野真砂美 撮影:三木麻奈

鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。

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