
もし、あのシェフが家で酒場を開いたら……という妄想からスタートしたWEB連載。3人目は、鎌倉「オステリア コマチーナ」の亀井良真シェフが登場。シンプルにそぎ落とし、素材の旨味を最大限に引き出すシェフが、「スーパーで手軽に買える食材で、和えたり軽く炒めたりするだけの爆速つまみ」を披露してくれた。9品目は、サンジョヴェーゼを味わうために考案した焼き肉。肉汁と果汁に溺れそうな「牛肉とトマトのさっと焼き」です。

かめい・りょうま●兵庫県生まれ。高校時代をオーストラリアで過ごし、大学卒業後、パスタ好きが高じて27歳で料理人の道へ。鎌倉のイタリア料理店などで修業を重ね、2010年に自店『オステリア コマチーナ』をオープン。シンプル極まりない料理と自然な造りのワインを堪能できる鎌倉の名店をつくりあげた。休日は欠かさず海へ繰り出し、本格的に釣り三昧。著書に『daily PASTA book 鎌倉 オステリア コマチーナ』(KADOKAWA)。

| 牛もも肉 | 200g(塊) |
|---|---|
| ミニトマト | 20個 |
| 塩 | 4g |
| 黒胡椒 | 少々 |
| オリーブオイル | 適量 |
ミニトマトはヘタを取り、半分に切る。牛肉は厚さ6mmに切る。

ボウルに、牛肉を重ならないように並べる。塩、胡椒をまんべんなくふる。続けてオリーブオイル大さじ2を加え、調味料がなじむよう手でもみ込む。


肉はレアな焼き上がりを目指そう。フライパンを強火でかんかんに熱し、オリーブオイル大さじ1を引く。牛肉を手早く並べて、焼き色がついたら上下を返す。


肉に火が入りすぎないよう、すぐにまな板に牛肉を移す。

続けてミニトマトをフライパンに入れ、弱火で加熱する。オリーブオイル少量を加え、ざっと混ぜる。

トマトは形を残したいので、加熱しすぎず、温まる程度でOK。器に移し、平らに盛る。

牛肉をななめ半分にそぎ切り、トマトの上にのせる。オリーブオイルをひと回しする。



伸びやかな酸味が魅力のサンジョヴェーゼを飲むために考案した、亀井さん曰く「おしゃれ焼き肉」だ。ワインを引き立てるために味つけは塩と胡椒のみ。と、シンプルながらも味わいは驚くほど豊か。ひと噛みすれば「!」。肉汁と果汁がじゅわわっと溢れ出し、鮮やかな旨味がどこまでも広がっていく。この瑞々しさを堪能するためにも、焼き過ぎは禁物。名前のとおり“さっと焼き”に徹しよう。最後、皿の上に残った焼き汁に、ゆで上げたパスタを絡めても美味。


鎌倉は小町通りのちょっと奥まった場所にあるイタリア料理店。食堂を意味する“オステリア”を銘打っているとおり、カジュアルな雰囲気が漂う。黒板には50近くのメニューが並び、どの料理も見た目は素っ気ないほどにシンプル。削ぎ落したからこそ生まれる滋味深さがどの皿にも溢れていて、何を食べても「旨っ!」と感動するし、何度食べても飽きることがない。夜はもちろん、昼もアラカルトOK。自然な造りのワインをとことん堪能しながら楽しめる素晴らしき店だ。
文:安井洋子 撮影:長野陽一