ようこそ!俺酒場
【ようこそ!俺酒場】佐藤シェフが「日本一旨い!」と絶賛するカレイの縁側の缶詰を使った"ボルシチ風"煮込み

【ようこそ!俺酒場】佐藤シェフが「日本一旨い!」と絶賛するカレイの縁側の缶詰を使った"ボルシチ風"煮込み

連載のトップバッターは、ポルトガル料理店「クリスチアノ」をはじめ5店舗の飲食店を運営するほか、食の業界で縦横無尽に活躍する、佐藤幸二さん。連載を締めくくる10品目は、カレイの縁側の旨味とハーブの香りが秀逸な煮込みです!

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宴もたけなわではございますが、佐藤幸二の「俺酒場」もそろそろ閉店のお時間に。
ラストを飾る一皿は、なんとボルシチ!それもカレイの縁側の醤油煮缶詰で!アメイジングすぎやしませんか、佐藤さん!

「この連載で、過去にも木の屋さんの缶詰を使っていますが、これはぼくにとって別格の缶詰なんですよ。日本一旨い缶詰。異次元の缶詰。そう言いきっちゃってもいいくらい」と、興奮気味に語り出した。

「以前、雑誌の企画で20種類くらいの缶詰を食べ比べたことがあったんです。そのときダントツで旨かったのが、木の屋石巻水産の『カレイの縁側・醤油煮込み』でした」

木の屋石巻水産謹製「カレイの縁側・醤油煮込み」
木の屋石巻水産謹製「カレイの縁側・醤油煮込み」。内閣総理大臣賞を受賞したこともある自信作。カラスカレイの縁側からヒレにかけての部位を醤油ベースの煮汁で仕上げている。コラーゲン、DHA、EPA、カルシウムも豊富。

あまりの美味しさに感激した佐藤さんは木の屋宛てに手紙をしたためた。その思いが伝わり、今度は木の屋のスタッフが「クリスチアノ」を訪問するという交流に発展した。

「そもそも、木の屋さんがつくる調味液が旨いんですよ。他の缶詰にも同じ調味液が使われていると思うんですけど、カレイの脂と調味液が混ざり合った味がたまらなく旨い!」

と言いつつも、じつは今回紹介するボルシチには缶汁を使わない。それはなぜか。
「缶詰は加圧加熱殺菌が施されています。別名『レトルト殺菌』とも言います」
自身も缶詰開発に携わってきた“缶詰のプロ”である佐藤さんが、製造工程を解説し始めた。

レトルト殺菌とは、缶詰を密閉したあと121℃を超える高温で4分以上殺菌すること。この工程のお陰で、食中毒の原因となる微生物が殺菌され、食材の腐敗を防ぐことができる。常温で流通保存できるのも、レトルト殺菌の工程があってこそ、なのだ。

しかし、缶を開けたときの蒸れたような臭いもレトルト殺菌が原因と、佐藤さん。「レトルト臭」といわれる特有の臭いだ。高温高圧で食材を加熱するとアミノ酸が変性したり、含硫化合物が発生するなど、化学変化が起こる。
「こうした化学変化の影響で、缶詰の食品は味が“ひとかたまり”になっちゃうんです。わかりやすく言えば、口の中で咀嚼したような味」

製造工程上避けられないことだが、佐藤さんはレトルト臭を飛ばし、元のおいしさに戻す方法があると話す。

「ひとかたまりになった味を、高温にかけて分離させるんです。一番ラクな方法だと、レンジ加熱。缶詰を使う前に、耐熱容器に移してレンチンするだけで、レトルト臭が飛びます。トースターやオーブンで焼いてもいいし、鍋で煮てもいい。蒸気でレトルト臭を飛ばし、本来の味に戻す。簡単でしょ?」

このとき、調味液やオイルなど缶詰の汁を切ることも、レトルト臭を残さないコツだと言う。
「でも、カレイの縁側の汁は旨すぎて、捨ててしまうのはあまりにももったいない。ぼくは、炊き込みご飯やおじやの味つけに利用しています」

ボルシチはカレイの縁側缶を水で煮込む。こうすることで、レトルト臭が飛んでカレイの旨味と煮汁の旨味がよみがえる。具には豆腐を加え、カレイの旨味をしっかり吸わせる。この段階で味見をすると、甘辛い煮汁がぷるぷるの豆腐にしみ込んで、白飯を欲するような一品になっていた。これだけで十分美味しいのに、なぜボルシチに?

「つまみ10品をすべて洋風の味で揃えたかったんですよ。10品目だけ和風味にすると浮いちゃうでしょ?それはぼくの美学に合わない、なんちゃって(笑)」

なるほど。だから、ディルとサワークリームをプラスしてロシア風にした訳ですね、佐藤さん。
「ディルの爽やかな香りを足すと、和風の料理もがらっと洋風に変わります。サワークリームは甘辛い和風の料理に加えると、程よい酸味でさっぱりとした味に。味変に使えるので、ぜひ覚えておくといいですよ」

ボルシチならば、酒はウォッカですよね。
「うーん、そこはね、木の屋さんの缶詰に敬意を表して、日本酒に。カレイと豆腐の煮つけにはやっぱり日本酒でしょ!」

いやあ、佐藤さん、さすがです!

カレイの縁側の缶詰を使った“ボルシチ風”煮込み

これで佐藤幸二の「俺酒場」はおしまい。
またいつか、とっておきの缶詰つまみを教えてくださいね!

材料材料 (2人分)

「カレイの縁側・醤油煮込み」(木の屋石巻水産)1缶(固形量120g)
絹ごし豆腐1/2丁
サワークリーム15g
ディル適量
粗挽き黒胡椒ひとつまみ

1缶詰の汁気をきる

カレイの縁側缶は汁をきる。

缶詰の汁気をきる
味のしみたカレイの身のみを使いたいので、汁気はきる。

2豆腐を切る

豆腐は4等分に切る。

3カレイと豆腐を煮る

小鍋に1のカレイと豆腐を入れ、水50mlを加える。弱めの中火にかけ、5分ほど煮る。ディルの葉をちぎって加え、さっと煮る。

カレイと豆腐を煮る
缶詰の汁で煮るのではなく、水を加えて煮ることで、缶詰特有のレトルト臭が抜ける。
カレイと豆腐を煮る
ディルを加えると、香りよくさっぱりとした味わいになる。

4仕上げる

器に3を盛り、ディルの葉をちぎって散らし、サワークリームをのせ、胡椒をふる。

仕上げ
仕上げにもディルの香りを足し、サワークリームをオン。ふたつの素材で醤油味の缶詰がロシア風に早変わり。

教える人

佐藤幸二 ポルトガル料理店「クリスチアノ」代表

佐藤幸二 ポルトガル料理店「クリスチアノ」代表

1974年埼玉県生まれ。国内外のレストランを経て独立。ポルトガル料理店「クリスチアノ」をはじめ、「お惣菜と煎餅もんじゃさとう」「ポークビンダルー食べる副大統領」など5店舗の飲食店や、缶詰やレトルト食品などを販売するECサイト「さとう商店」を運営。趣味は家族でキャンプすること。晩酌酒はジムビームのハイボール、または黒霧島ロックの二択!

店舗情報店舗情報

クリスチアノ
  • 【住所】東京都渋谷区富ケ谷1-51-10 1階
  • 【電話番号】03-5790-0909
  • 【営業時間】17:00~22:00(L.O.) 土日祝は12:00~14:00 (L.O.)も営業
  • 【定休日】無休
  • 【アクセス】東京メトロ「代々木公園駅」1番出口より1分

文:佐々木香織 撮影:伊藤菜々子

佐々木 香織

佐々木 香織 (ライター)

福島出身の父と宮城出身の母から生まれ、東北の血が流れる初老の編集ライター。墨田区在住。食べることと飲むことが好き。お酒は何でも飲むが、とくに日本酒と焼酎ラヴァー。おもな仕事は新聞やウェブでの連載、雑誌や書籍の編集・取材・執筆。テーマは食べもの、お酒、着物など。

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