
江戸の味を今に伝える「深川めし」。アサリとねぎを煮て熱いご飯にかけたシンプルなどんぶりですが、極上の貝の美味しさはお酒のあてにもなります。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、おつまみにもなる「深川めし」のつくり方とそのコツを教えていただきました。
東京の人にはなじみ深い、貝を使った「深川めし」。
江戸発祥の粋な郷土料理で、ふっくらとしたアサリの身と味噌のおだしでいただく、アサリの旨味をあますところなく生かしたご飯です。
ポイントは、アサリの火入れ。火を入れすぎると身が硬くなってしまうので、さっと酒蒸しにして取り出し、残っただしでねぎを炊き、アサリのむき身を戻し入れたら火を止め、余熱で温めるようにします。
アサリのだしを効かせるとご飯ものもですが、お酒にも合い、煮汁を含んだアサリがいいおつまみになるんです。
お酒は淡麗な日本酒がいいですね。まずはアサリをつまみにしてお酒をちびちび。最後はご飯と煮汁で締めてください。
アサリ | 10個(200g) |
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★ 塩水 | |
・ 水 | 200ml |
・ 塩 | 小さじ1/2 |
白ねぎ | 1/2本(60g) |
酒 | 大さじ1 |
合わせ味噌 | 小さじ1 |
ご飯 | 適量 |
海苔 | 適量 |
粉山椒 | 適量 |
合わせておいた塩水にアサリを30分間以上つけて砂出しをし、殻をこすりあわせて洗って水気をきる。白ねぎは斜め薄切りにする。
小鍋に①のアサリと酒を入れて蓋をして中火にかける。アサリの口が開いたらザルに上げて漉す(漉した汁はとっておく)。殻からアサリの身を外す。
鍋に②の汁(約60ml)を戻し入れ、味噌を混ぜ溶き、①のねぎを加えて中火にかける。沸いたら1~2分ほど煮てねぎがしんなりとしたら、②のアサリの身を入れて火を止める。
茶碗にご飯を盛り、③をかけ、海苔と粉山椒を添える。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ