大原千鶴さんの「今宵のあて」
旨味を吸ったねぎが主役の「ひとりねぎすき焼き」

旨味を吸ったねぎが主役の「ひとりねぎすき焼き」

冬になると美味しさを増すねぎを主役にした「すき焼き」。ねぎは加熱すると甘みが増し、甘辛味のすき焼きは最高のお酒のあてになります。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、この時季ならではのおつまみのつくり方とコツを教えていただきました。

みんなが好きな甘辛味の後味をラガービールがリセットしてくれる

ちょっと食べたいけど、がっつりでなくていいのが牛肉。すき焼きは好きだけど、むしろ主役は野菜。年々そんなふうになってきているのは私だけでしょうか(笑)。

このすき焼きは、ねぎがメインで、砂糖と醤油で味つけする関西風。砂糖で先に甘味をつけてから、醤油を加えます。今回はねぎと豆腐を入れて味をつけ、牛肉は最後に煮汁にからめる程度です。とろとろのねぎが美味しくて、クレソンを入れてもいいアクセントになります。

残った煮汁でうどんやご飯を炊のもお薦めです。小さな鍋でつくると、洗い物も少なくてすみます。お酒はすき焼きの甘辛味をリセットしてくれるビール。後味がすっきりするラガービールがいいですね。

ひとりねぎすき焼きのつくり方

材料材料 (直径16cmのスキレット1個分)

長ねぎ 1本(100g)
焼き豆腐 1/4丁(80g)
牛薄切り肉60~80g(すき焼き用)
砂糖大さじ1
醤油大さじ1
粉山椒少々
クレソン 少々

1材料を切る

長ねぎは長さ2cmに切る。焼き豆腐は半分に切る。

2煮る

スキレットに①のねぎと豆腐を入れ、まず砂糖、次に醤油の順に回し入れて中火にかけ、蓋をする。煮汁が全体にからむように様子を見ながら3分間ほど煮る。

3牛肉を加える

ねぎがしんなりとしたら、牛肉を広げて入れ、煮汁にからめながら好みの煮え加減になったら、火を止める。

牛肉を加える

4仕上げる

粉山椒をふり、あればクレソンを添える。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。