尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
"魚のアラ"をロサない!旨味たっぷり"アラ・パッツァ"

"魚のアラ"をロサない!旨味たっぷり"アラ・パッツァ"

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は“魚のアラ”。骨から出る旨味がたっぷり、使いこなさなきゃもったいない!

“アラ”の価値は“骨”にあり!

今回お届けするのは、魚を一尾まるごと食べきって“フードロサない”ための知恵!食いしん坊ならばその価値を知っている“魚のアラ”のおいしい食べ方だ。すぐに思い浮かぶ料理といえば、“アラ煮”や“アラ汁”くらい。それだって間違いなくおいしいけれど、ほかにもアラを使ってサッと気の利いた一皿をつくれたら、料理の腕前がグッと上がって見えそうなのだが……。

そんな淡い期待を抱きながら、尾身さんのもとへ。アラを使ったおいしいレシピ、教えてください!

「アラ、いいお題(笑)。なんたって私も“魚のアラ”が大好き。なにがいいかって、“骨”がついていること!魚屋さんでおろした魚を買うときも、わざわざ骨がついてるものを選ぶほど。アラは骨の周りについてる身もおいしいし、煮ても骨から出る旨味がすごいんですよ」

そんな話をしながら、尾身さんが冷蔵庫から取り出したのは、ピッカピカの金目鯛のアラ。

「アラっていつも売り場にあるとは限らないでしょ?だから私は、よさそうなのを見つけたら買っておいて、そのまま冷凍しちゃうんです。安いから気軽に買っておけるし」

そんな手があったか!と思いながら、ストックしておこうと考えるのは、つくる料理のイメージがあってこそ。というわけで、今回はこのアラを使って、イタリア料理の大定番を教わることに……!?

尾身さん
冷凍しておくと便利。金目鯛はアラもおいしい!

“アラ”は丁寧な下ごしらえでおいしく!

さっそく尾身さんがつくってくれたのは、金目鯛のアラを使った“アクア・パッツァ”。ご存じのように、イタリア南部に起源をもつといわれる、魚介類やトマトなどを海水で煮る豪快な漁師料理だ。

「“アラ・パッツァ”と呼んだほうがいいかも(笑)。脂がのった金目鯛は、アラも旨味たっぷり。おいしくつくるコツは、下ごしらえを丁寧にすること!」

そう言いながら、尾身さんはアラにお湯をまわしかけて霜降りに。そのあとは、頭に残りがちなウロコを除き、血のかたまりなどもきれいに流したら準備完了。さらにこれを、オリーブオイルで焼きつけてから煮る。こうすることでこうばしさがつき、くさみのない、とびきりのアクア・パッツァが完成するのだ。

「アラの旨味が溶け出した、濃厚なソースが最高!バゲットを添えて、余すことなく吸わせて味わうのがおすすめ。ショートパスタを加えて和えてもおいしいですよ!」

“金目鯛のアラ・パッツァ”のつくり方

完成

材料材料 (2人分)

金目鯛のアラ400g(タイなど白身系のアラでもよい)
アサリ1パック(130g)(砂抜き済み)
にんにく大1個(つぶす)
玉ねぎ100g(薄切り)
ミニトマト6~8個
ケッパー大さじ1と1/2(粗く刻む)
ローズマリー2枝
白ワイン70ml
オリーブオイル大さじ1と1/2
小さじ1/4(アサリ、ケッパーの塩味によって加減する)
黒胡椒少々

1アラを霜降りにする

金目鯛のアラをザルにのせ、熱湯をかけて霜降りにする。すぐにたっぷりの水に取って冷やしながら軽く洗い、表面にウロコが残っていれば取り除く。キッチンペーパーで水気を拭き取る。

アラを霜降りにする
アラを霜降りにする

2アラを焼きつける

フライパンにオリーブオイルをひいてにんにくを入れ、中火にかける。香りが出たら、アラを並べて、両面を焼き付ける。

アラを焼きつける

3玉ねぎを加える

アラを寄せて玉ねぎを端に入れて軽く炒める。油がまわったらアラと合わせてまんべんなく散らし、白ワインを加えてアルコール分をとばす。

玉ねぎを加える
玉ねぎを加える

4具材を入れて煮る

水500ml(分量外)を加えて煮立ったら、アサリ、ケッパー、ローズマリー、ミニトマト、塩、黒胡椒を加える。7~8分煮たら火を止め、仕上げにEXバージンオリーブオイル適量(分量外)をまわしかけて出来上がり。

具材を入れて煮る

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。