料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は、韓国料理の“プルコギ”。たっぷりつくった翌日のランチは、サンドイッチで決まり!
ドラマや映画、音楽など、韓国カルチャーの盛り上がりを受けて、韓国料理人気の勢いも止まらない。近頃では身近なスーパーにも、韓国食材コーナーができるほど。そして、会員制大型スーパーや業務用スーパーで大人気なのが、あの名物料理だ。
「“プルコギ”はすっかり定番になりましたよね~!自分でつくる人も多いと思いますが、味つけ済みで炒めるだけの牛肉が売られているので、ホームパーティーやアウトドアにもぴったり。でも、会員制大型スーパーのものは1パックに1.5kg以上も入っていて、かなりの大容量。ちゃんとロサないで食べきれているのかしら……?」
実は、そんなプルコギブームを受けて、これまでたくさんアレンジレシピを考えてきたという尾身さん。
「チャーハンにしたり丼ものにしたり、家庭向けのアレンジをたくさん紹介してきたんです。でも、まだまだ“プルコギ”にはポテンシャルがありました。ご飯との相性は申し分ないけれど、実はパンとも合うんです!」
そう言いながら取り出したのはなんと、バゲット!なんと、ベトナムでおなじみのバゲットを使ったサンドイッチ“バインミー”をつくるというのだ。
ベトナムの“バインミー”は、現地では“パン”を意味する言葉。日本ではバゲットにハムやレバーパテ、紅白なますなどの具材をバゲットに挟んだサンドイッチの代名詞となっている。かつてベトナムがフランス領だった歴史から、両国の食文化が融合して生まれたものだ。
「ベトナムのバゲットは、フランスのものと違って、とっても軽いんですよね。なので、スーパーで売られているような手ごろなバゲットやバタールを使って、トースターでカリッと焼いて使うと“バインミー”らしい味になります」
そう話しながら、焼きたてのバゲットにバターとマヨネーズを塗り、具材をのせていく尾身さん。プルコギもたっぷり挟んで、仕上げにのせたのは黄色とオレンジ色のなます!
「韓国でよく食べられている、黄色いたくあんと人参を酢で和えて、簡単な“なます”にしました。これがプルコギと合うんですよ!」
華やかな彩りにもそそられつつ、出来上がった“プルコギバインミーを”パクリ。これは期待以上のおいしさ!牛肉の濃いめの甘辛い味つけとたっぷりの野菜、酸味のきいたなます、たっぷりのパクチー、香ばしいバゲット……と、幾層もの味の重なりが快感なのだ。
「プルコギの味わいは韓国なのに、バゲットに挟んだらベトナムの味になるから不思議。飛行機に乗らなくても、ひとっ飛びできますよ!」
バゲット | 15~20cm |
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残ったプルコギ | 60~70g(炒めたもの) |
きゅうり | 6枚(斜め薄切り) |
紫玉ねぎ | 適量(スライス) |
トマト | 5枚(半月切り) |
パクチー | 適量 |
バター | 適量 |
マヨネーズ | 適量 |
★ なます風 | |
・ たくあん | 20g(細切り) |
・ 人参 | 20g(せん切り) |
・ 酢 | 大さじ1 |
たくあんと人参を酢で和えて、しんなりするまで5~10分ほどおく。
バケットの厚みが半分になるように切って、オーブントースターで両面を軽く焼き色がつくまで焼く。土台となる下半分の断面に、バターとマヨネーズを塗る。
土台となるバゲットに、きゅうりを並べて、プルコギをのせる。
紫玉ねぎ、トマト、なます風(汁気をきる)、パクチーを順にのせる。最後に、バゲットの上側半分をのせて挟む。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之