料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。前回に続き、今回のお題も、やわらかくなってしまった“完熟トマト”。冷凍ワザでもう無駄にしません!
今回もお届けするのは、やわらかくなった“完熟トマト”をおいしく食べきるレシピ。前回は“ガスパチョ”を教えてくれた尾身さんだが、「忙しくて料理をする暇がない!」なんてときに、フードロサないためのとっておきの裏ワザを教えてくれた。
「撮影の仕事で準備したトマトがたくさん余って、持ち帰ることも多いんです。そんなときは、迷わず冷凍しちゃいます!洗ってヘタを取ったらひとつずつラップで包んで、冷凍庫に入れるだけ。夏はたいてい、冷凍庫に5、6個は入ってますね」
冷凍することで、トマトを急いで使い切らなくてもいいのは、忙しいときに助かる。でも、凍らせたトマト、尾身さんはどんなふうに料理に使っているのだろうか。
「冷凍トマトは、スープや煮込みに使うのがおすすめです。トマト缶と同じように使えますが、フレッシュトマトならではのみずみずしいおいしさ!室温に数分おいておけば、皮もスルッときれいにむけますよ」
煮込みやスープなど、冷凍トマトが加熱調理に向くことを教えてくれた尾身さんだが、今回教えてくれたのは加熱しない、とっておきの使い方だ。
「凍ったままシャリシャリすりおろして、冷たい麺の上にかけるのが最高なんですよ~。麺はなんでもいいんですが、ぜひ試してほしいのが日本そば。薬味を添えるだけで、お店でも食べられない極上の冷やしそばになります」
つくり方は、レシピがいらないほど簡単だ。ゆでて冷水でしめた麺の上にめんつゆをかけて薬味をのせたら、冷凍トマトをグレーターやすりおろし器を使ってすりおろす。そばの上に降り積もった冷凍トマトのすりおろしは、まるでかき氷のような美しさ。しかも、シャリシャリのトマトが溶けためんつゆがまた、意外なほどそばによく合うのだ。
「トマトにはグルタミン酸、めんつゆとトッピングの鰹節にイノシン酸が含まれているので、旨味の相乗効果でおいしくなるんです。食べてみたいと思ったら、今すぐ完熟トマトを冷凍してください!(笑)」
冷凍トマト | 1個(150~200g) |
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日本そば | 2把(200g) |
めんつゆ | 200ml(かけそばの割合で希釈したもの) |
青じそ | 10枚(せん切り) |
みょうが | 2個(縦半分に切ってから小口切り) |
鰹削り節 | 適量 |
鍋にたっぷりの湯を沸かして、そばを投入し、袋の表示時間通りにゆでる。ザルにあけて冷水にとってしめ、しっかり水気を切る。
そばを器に盛り、めんつゆをかける。青じそとみょうがをのせる。
グレーター(穴の開いたすりおろし器で代用可)を使って、麺の上に冷凍トマトをたっぷりすりおろしてかける。かつおぶしをのせて出来上がり。混ぜながら食べる。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之