食欲減退気味のこの時期は、夏野菜が大活躍します。なかでもきゅうりはその歯ざわりとみずみずしさが夏にぴったり。持ち味の清涼感に少し手を加えると、いつもと違うあてになります。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
きゅうりはいろいろな使い方がありますが、私はできるだけ簡単につくって、シンプルに味わうのが好みです。
このあては、韓国風の味つけにした一品です。きゅうりは、昔は板ずりをしましたが、最近のものはイボイボがないのでしなくて構いません。塩もみせず、にんにく風味のタレを和えただけです。
まずきゅうりをすりこぎか麺棒で叩きます。叩くと、味しみがよくなるんです。皮は縞目にむいていますが、硬そうなときは全部むいてもいいです。全むきにすると、見た目が翡翠色一色で、ちょっと上品で優しい感じになり、歯ざわりがよくなります。
きゅうりは和食の場合、酸味や生姜と合わせることが多いですが、にんにくとの相性が抜群で、きゅうりのイメージが一変します。にんにくや胡麻油の香りも楽しんでもらいたいので、ぜひ和えたてを召し上がってください。
お酒は、にんにくや胡麻油に合う、泡盛です。きゅうりをつまみながら、ストレートを舐めるようにちょっとずつ呑むのが最高です。
きゅうりは、体を冷やす効果のある野菜でもあるので、ぜひいろいろな料理で楽しんでください。炒めたり、汁物にするのもお薦めです。
きゅうり | 2本(200g) |
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A | |
・ にんにく | 小さじ1/2(みじん切り) |
・ 米酢 | 小さじ1/2 |
・ 胡麻油 | 小さじ1/2 |
・ 塩 | 小さじ1/4 |
・ 赤唐辛子 | 少々(乾燥の小口切り) |
きゅうりはヘタを落とし、ピーラーで皮を縞目にむいて縦に4等分に切る。すりこぎなどで軽く叩いてから、食べやすい大きさに切る。
ボウルに①のきゅうりとAを入れて和える。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ