料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。前回に続き、お題は“新生姜”。夏にぴったりのドリンクレシピをお届けします!
前回教わったのは、みずみずしい新生姜を使った“甘酢漬け”と、それをさらにおいしく楽しめる“鶏むね肉とセロリの新生姜甘酢漬け炒め”。ところが尾身さん、まだ余らせていないか、ちょっと気になっているようで……。
「新生姜ってたっぷり入って売られているでしょ?甘酢漬けをつくっても、大きな塊がひとつ分くらい、冷蔵庫に残っているんじゃないかと思って。新生姜は水分が多いので、鮮度が落ちないうちに使い切ってほしい食材です。そこで、ぜひ“クラフトジンジャーエールシロップ”のつくり方も紹介したくって!」
新生姜はもちろんのこと、自家製のスパイスカレーに挑戦して、たくさん買い込んだスパイスを使い切れずにいる人も注目。これはつくるしかない!
さっそく、新生姜をすりおろしていく尾身さん。あれ、皮はむかなくていいんですか……?
「そう、皮はそのままで!皮には新生姜ならではのフレッシュな香りがあるので、一緒にすりおろしてください。皮も“ロサない”で済むし、むく手間も省けますから!すりおろし機能のアタッチメントが付属しているフードプロセッサーを持っている人は、それを使うともっとラクですよ」
鍋におろした新生姜、きび砂糖を入れたら、シナモン、クローブ、カルダモン、赤唐辛子を投入!コトコト煮込んで、仕上げにレモンでさやわやかな酸味をプラスする。スパイスのなかでも最もポイントとなるのが、赤唐辛子だ。
「辛味の要となるのが、赤唐辛子なので、大人の辛口をめざすなら、一本多めに入れてもいいくらい。一度つくってみれば、スパイスは自分流にアレンジするのも面白いですよ。黒胡椒やフェヌグリークをホールで入れてもいいかも。あれこれ試してみるのも楽しいんです」
できあがったシロップはグラスに入れて、炭酸水で5~6倍に割れば、さわやかなジンジャーエールの出来上がり。スパイスの香りがいいのはもちろん、新生姜のあらごしな果肉感も、たまらない!
「お酒と合わせてもいいですね。ビールで割ればとびっきりのシャンディガフになるし、焼酎やジンに加えてもさわやか。かき氷にかけてもいいし、絹ごし豆腐にかければ豆花風のスイーツに。醤油と合わせれば、スパイシーな生姜焼きのタレにもなります。いろいろな楽しみ方を見つけてくださいね!」
新生姜 | 200g |
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きび砂糖 | 300g |
レモンの輪切り | 1/2個(ノンワックス) |
★ スパイス | |
・ シナモン | 2本 |
・ クローブ | 7個 |
・ カルダモン | 5個(ホール) |
・ 赤唐辛子 | 2~3本(乾燥、種をとる) |
・ 八角 | 1個 |
新生姜はよく洗い、赤くなっている固い部分を包丁で切り落とす。また、茶色くなっている部分があれば、包丁で削ぎ落す。
すりおろし器で皮ごとすりおろす。フードプロセッサーにすりおろし用のアタッチメントがあれば、それを使ってすりおろしてもよい。
鍋にすりおろした新生姜、きび砂糖、スパイス、水400ml(分量外)を入れる。スパイスのカルダモンは、香りがしっかり出るように、キッチンバサミで切り込みを入れてから加える。
鍋を中火にかける。沸騰したら弱火に落として、10分ほど煮る。途中でアクが浮いてきたらすくう。
レモンを加えて、さらに3~4分ほど煮たら、鍋のまま冷ます。冷えた炭酸水(分量外)で5~6倍に割れば、ジンジャーエールの出来上がり。シロップは清潔な保存容器に移し、冷蔵で3週間~1ヶ月保存可能。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之