料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は、自家製“チャーシュー”の端っこ。ちょっとだけ残ったら、どうしていますか?
ん~、いい香り!尾身さんのキッチンに漂うおいしそうな気配の正体は、飴色に輝く自家製の“チャーシュー”。といっても、今回教わるのは絶品チャーシューのつくり方ではなくて……。
「dancyu読者のみなさんなら、自家製のチャーシューをつくる人も多いでしょ。つまみにしたり、ラーメンにのせたりして、最後にちょっとだけ端っこだけが残りませんか?そこでお伝えしたいのが、“チャーシューの端っこ”を使い切るレシピ。味がしっかりしみておいしい端っこ、最後まで味わい尽くしましょう!」
ちなみに、尾身さんのチャーシューは、ちょっと意外なつくり方。豚肩ロースの塊をやわらかくゆでてから、醤油、砂糖、紹興酒、にんにく、生姜などを合わせたタレに漬け込み、味が浸透したらはちみつを塗って、オーブンで焼いて仕上げるのだ。
「中国料理の脇屋友詞シェフの料理教室をお手伝いしたときに、ゆでてから漬け込むチャーシューを教えていらして、そのやり方を取り入れているんです。生のお肉をオーブンで焼くよりも、やわらかくておいしいの。手をかけてつくる自家製チャーシューだからこそ、端っこもおいしく食べきりたいですよね!」
そう話しながら、冷蔵庫から取り出したのは、どこのスーパーでも買える大手メーカーの焼きそば麺。果たしてどんな焼きそばになるのか……!?
「コツはフライパンに麺を広げたら、菜箸でさわらずに焼くこと。混ぜたくなるのをグッとこらえて、しっかり焼きつけて!チャーシューのおいしさをいかしたいので、添付の粉末ソースは使わず、オイスターソースで味つけします。そうすると、香港風の焼きそばになるんですよ」
そんな尾身さんの説明を聞きつつ、実際につくり方を見せてもらうと、確かに“焼きつける”という説明がぴったり。焦げ目がつくまで焼くと、強火の中華鍋で炒めたかのように麺がパラッとほぐれる。そこにチャーシューとたっぷりの薬味が加わると、さらにおいしさを増すのだ。
つまみにもなるこの焼きそば、一度つくれば定番になること間違いなし!
焼そば麺 | 2袋(150g) |
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残ったチャーシューの端っこ | 100g |
生姜 | 10g(せん切り) |
長ねぎ | 80g(縦半分に切ってから斜め薄切り) |
ニラ | 適量(5mm幅に切る) |
醤油 | 小さじ1 |
★ 合わせ調味料 | |
・ オイスターソース | 大さじ1 |
・ 紹興酒 | 大さじ1(酒で代用可) |
・ 五香粉 | 少々 |
胡麻油 | 大さじ1 |
サラダ油 | 大さじ1 |
チャーシューの端っこは棒状に切る。
焼そば麺は袋のまま電子レンジ(600W)で1分30秒温める。袋からボウルに出してほぐし、醤油をふりかけて全体にからめる。
フライパンに胡麻油をひいて強めの中火にかけ、焼きそば麺を入れて広げたら、動かさずにカリッとするまで焼きつける。こんがりと焼き色がついたら返して、さらに焼きつける。
もう一方の面もこんがり色づいたら、菜箸で麺をほぐす。
麺を片側半面に寄せて、空いたところにサラダ油をひき、チャーシューと生姜を入れて炒める。
よく混ぜた合わせ調味料をまわし入れ、全体に味をからめる。
仕上げに長ねぎを加えて軽く炒め合わせたら、火を止める。器に盛り、ニラを散らす。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之